1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトMAdCAM-1遺伝子の単離と発現分布.調節機構の解析-腸管、粘膜疾患関連関節炎の病態への関与-
Project/Area Number |
08770324
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小池 竜司 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (50250220)
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Keywords | MAdCAM-1 / ラット / cDNA / ゲノム |
Research Abstract |
まずヒトにおいてマウスMAdCAM-1cDNAに交叉反応性が存在するかを調べるため、ヒトゲノムDNAを用いてサザンハイブリダイゼーション解析を行った。しかし種々の条件においていずれもクロスハイブリダイズが見られず、核酸配列での交叉性はかなり低いと考えられた。いっぽうマウスMAdCAM-1cDNAの塩基配列とゲノム構造を参考に数種類の組み合わせでPCRプライマーを作製し、ヒト腸間膜リンパ節cDNAを鋳型としてPCR反応を行いヒトMAdCAM-1cDNA断片を得ることを試みた。PCR反応条件も様々に検討しながら進めたが、結果的にはヒトMAdCAM-1ホモログ由来と思われるPCR産物を得ることができず、ヒトとマウスの間の相同性がかなり低いためにこれらの方法で単離することは困難と判断した。そこで同時にラットについてマウスMAdCAM-1cDNAをプローブとしたサザン解析を行ったところクロスハイブリダイズを確認できたため、ラットゲノムライブラリをスクリーニングしたところラットMAdCAM-1ホモログの遺伝子を単離することに成功した。さらに一部の塩基配列決定を行い、これをもとにプライマーを作製し、ラットパイエル板cDNAを鋳型としてRT-PCR法を用いてラットMAdCAM-1cDNAも単離することができた。 ラットMAdCAM-1はマウスと89.5%のホモロジーを有し、ゲノム構造も酷似していた。ノーザン解析ではマウス同様に腸間膜根リンパ節とパイエル板に発現を認めたが、マウスで発現が見られる脾臓では発現が認められなかった。今後はラットホモログの解析を進め、まず動物疾患モデルにおいてMAdCAM-1分子の機能や役割について検討を行い、さらに発現や機能の制御を最終的にヒトの疾患治療に応用していくことを検索して行く予定である。
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[Publications] Ryuji Koike 他: "The splemic marginal zone is absent in alymphoplastic aly mutant mice" European Journal of Immunology. 26. 669-675 (1996)
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[Publications] 小池竜司: "ループスモデルに対する可溶性CTLA4の有効性" 臨床免疫. 28. 103-107 (1996)
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[Publications] 小池竜司: "リンパ球ホ-ミング現象の分子機構" 動脈硬化. (印刷中). (1997)
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[Publications] 小池竜司: "腸管周囲リンパ組織の形成にβ7インテグリンが必要である" 臨床免疫. (印刷中). (1997)
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[Publications] 小池竜司 他(共著): "実験医学別冊 Bio Science 用語ライブラリー 細胞接着" 宮坂昌之,矢原一郎 編集 羊土社発行, 205 (1996)
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[Publications] 小池竜司 他(共著): "接着分子とアレルギー" 茆原順一.宮坂昌之 編集 メディカルレビュー社発行, 260 (1996)