1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08770362
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
花房 直志 岡山大学, アイソトープ総合センター, 助手 (00228511)
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Keywords | 肝癌 / RLGS / ゲノムメチレーション |
Research Abstract |
ゲノムの詳細な情報を1度の解析により得ることができるすぐれた特徴をもつRLGS(Restriction Landmark Genomic Scanning)法を用い、肝がん(HCC)の癌部と非癌部とを比較した。我々はHCCで共通に見られるスポットの変化が多数存在する事、幾つかの特徴的な変化が見られることを第31回日本肝臓学会(1995年)で報告した。本研究では、RLGS法を真に有効な染色体の解析法とするため、肝がんで変化の見られたものを中心にRLGSプロファイルの各スポットを染色体上にマップする手法を開発することを主要な目的とした。1:RLGS法の最適化:第11回基礎生物学研究所バイオサイエンストレーニングコースに参加し、より簡便かつ精密に多数の試料を解析可能な手法を習得した。現在はこの手法を用いて解析を行っている。2:ランドマークスポットのピックアップ:数千のスポットを全て取り扱うことは実際的にはできない。特にHCCで特異的に変化の見られるスポットをこれまでの10数例の解析から明らかにしたので、これらを特に重点的に解析した。3:RLGSスポットクローニング法の改良:鈴木らにより報告されたPCR法を用いたクローニング法を元にラベリングとアダプターに改良を加え、1度の電気泳動でクローニング可能な手法を開発した。多数の試料を並べ比較することが必要なうえ、限られた試料しか手に入らない臨床材料を用いた研究では最も必要な技術であり、この改良により研究の効率化が可能となった。4:スポットの配列決定:単離されたスポットの断片をPCRで増幅し直接部分的配列決定を行った。さらにいくつかのスポットについてはベクターへのクローニングを行った。配列が決定されたスポットのいくつかについては Radiation hybird パネルを用いた染色体マッピングを試みた。HCCにおいて新たに出現したスポットの多くは反復配列のメチル化状態の変化によるものであること、マイクロサテライトの複製エラー(RER)によると思われるスポットの変化を検出したこと等、新たな知見がいくつか得られた。これらについては第33回日本肝臓学会(1997年4月)において発表する予定である。
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