1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肝癌細胞株におけるE-cadherin,catenin,actinの動的変化
Project/Area Number |
08770386
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
増田 哲也 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60245496)
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Keywords | 肝細胞癌 / E-Cadherin / catenin / 転移抑制 / 分化誘導剤 |
Research Abstract |
1.E-cadherinの細胞膜表出量の変化 ヒト肝癌細胞株HCC-M,HCC-TおよびPLC/PRF/5をall trans-retinoic acid(RA)10^<-6>M,sodium butyrate(SB)10^<-3>M,dexamethasone(DEX)10^<-6>M,interferon-α(IFN)100U/mlの濃度で5日間添加培養後、Human E-Cadherin-Antibodies(HECD-Ab)を用いてflowcytometryによりその細胞外発現量の変化を解析した結果、SB,IFNでE-Cadherinの発現量の増加を認めたが他の薬剤では変化を認めなかった。 2.E-cadherin、catenin、actinの細胞内分布の変化 分化誘導剤を同様の濃度で5日間添加培養した細胞をE-Cadherin,β-catenin,actinの抗体を用いて免疫染色を行い、蛍光顕微鏡にて観察した結果、SB,IFNでE-Cadherin,β-cateninは細胞膜周囲に発現量の増加を認めた。またactinはSB,IFN添加により長軸方向への伸展を認めた。 3.catenin分子の発現変化 各種薬剤添加後のα-catenin,β-catenin,γ-cateninの発現量の変化をWestern blotにより検討した結果、SB,IFN添加によりβ-cateninの発現の増加を認めた。α-catenin,γ-cateninについてはいずれの細胞においても発現が認められたが、薬剤添加による発現量は変化しなかった。 以上の結果より、SB,IFNはE-Cadherinの表出を増加させることにより肝細胞癌の転移を抑制する可能性が示唆された。またE-Cadherinの発現調節についてはcatenin分子の中でもβ-cateninが最も重要な働きをしているものと考えられた。
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