1996 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞におけるサイトカインの生理的、病態的意義の検討
Project/Area Number |
08770495
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣田 久雄 大阪大学, 医学部, 助手 (30273684)
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Keywords | gp130 / leukemia inhibitory factor / cardiotrophin-1 / JAK1 / STAT3 |
Research Abstract |
信号伝達性の膜蛋白gpl30は、複数のサイトカイン|interleukin-6 (IL-6),ciliary neurotrophic factor (CNTF),leukemia inhibitory factor (LIF),cardiotrophin-1 (CTー1)など|の受容体複合体に共通に用いられ、これらサイトカインの信号を細胞内へ伝えるのに必須の分子である。特にLIF,CT-1は培養心筋細胞に対して肥大作用を示すが、その生理作用については不明な点が多い。我々はトランスジェニックマウスを用いて、gp130を恒常的に活性化すると心筋肥大が生じることを明らかにしており、gp130の信号伝達系が心筋の機能調節に重要な働きをしている可能性をこれまでに示した。 1.gp130の下流の信号伝達分子の活性化とターゲット遺伝子の解析:心筋細胞においてgp130を刺激し、JAKSTAT経路とMAP経路が活性化されるか否かを検討した。LIF刺激後の心筋細胞において刺激早期にgp130、JAKI、STAT3のリン酸化を認め、さらにERK1、ERK2の一過性の活性亢進を確認した。下流分子の解析として、心房性Na利尿ペプチド、cーfosなどの遺伝子について検討した。LIF刺激によりこれらの遺伝子の転写が亢進した。今後は、STAT3 dominant negativeを心筋細胞に導入することにより、真のターゲット遺伝子を解析する予定である。2.CT-1受容体(R)のクローニング:CT-1Rに相同性が高いと考えられるIL-6R、IL-11R、CNTFRに共通に認められるアミノ酸配列(PDPP・WSXWS)をもとにマウス心筋細胞mRNAからRT-PCRを行い、相同部分を含む270bpのcDNA断片を得た。同cDNA断片をプローブにした臓器別ノーザンブロットでは心臓と骨格筋に発現を認めた。今後このcDNA断片を用いてマウス心臓由来cDNAライブラリーをスクリーニングし、そのcDNAの全塩基配列の決定と細胞での再構成実験から、単離したものがCTー1受容体であることを確認しgp130との関わりを検討する。さらにCTー1受容体cDNAをプローブにして同受容体の発現分布の発現制御を解析する。
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[Publications] Hisao Hirota,et al.: "gp130 signaling pathways : recent advances and implications for cardiovascular disease." Trends Cardiovasc.Med.6. 109-115 (1996)
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[Publications] Hisao Hirota,et al.: "Accelerated nerve regeneration by upregulated expression of IL-6 and IL-6 receptor after trauma." J.Exp.Med.183. 2627-2634 (1996)
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[Publications] Hideo Matsui,et al.: "Leukmia inhibitory factor induces a hypertrophic response mediated by gp130 in murine cardiac myocytes." Res.Commun.Molec.Pathol.Pharmacol.93. 149-162 (1996)
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[Publications] Keita Kunisada,et al.: "Activation of JAK-STAT and MAP kinases by leukemia inhibitory factor through gp130 in cardiac myocytes." Circulation. 94. 2626-2632 (1996)