1996 Fiscal Year Annual Research Report
心機能障害におけるANPに対する反応性と白血球ANP受容体mRNA発現との関連
Project/Area Number |
08770536
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
松本 朗 久留米大学, 医学部, 助手 (80219485)
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Keywords | 左心機能不全 / ANP / GC-A受容体 / RT-PCR法 |
Research Abstract |
慢性左室機能不全におけるANP反応性を検討するため、心臓超音波検査において左室駆出分画の低下(EF48±8%)を呈する心疾患患者6名に、外因性ANP投与を行い、血圧、尿中ナトリウム排泄量および尿中cGMP排泄量の変化を観察した。しかし、今回検討した6例については血漿ANP濃度の有意な上昇にもかかわらず、有意な尿量、尿中Na排泄量、尿中cGMPの増加および有意な血圧の低下は認めなかった。これまでに慢性左室機能障害を有する患者においてはANPに対する反応性が低下することが言われているが、少なくともこれまでの本研究結果においてもこのような患者におけるANP低反応性が存在することが考えられた。また、ANPと拮抗するレニンについても少なくとも血漿レニン活性で見る限りではANPに対する反応性との関連は明らかではなかった。また、本研究では、ANPに対する反応性とANP受容体発現とのあいだの関連を検討することが主眼であり、今回例数は少ないながら患者白血球分離検体より、AGPC法を用いてRNAを抽出し、既知のGC-A受容体のprimerを用いてRT-PCR法にてそれぞれの患者におけるGC-A受容体発現について検討した。しかし現在のところ、ANP反応性と受容体発現とのあいだに明らかな関連が存在する証拠は得られなかった。しかし、今回行った方法は定量性に乏しく、より確実な検討のためには、今後competitive PCRを用いるか、従来血小板において行われているようにbinding assayを行い直接受容体発現を検討することも考慮している。また、今回は慢性左室機能不全患者に限定して検討したが、日常臨床ではANP投与の良い適応は急性心不全であると認識されていることからも、比較検討のためには今後新たに急性心不全患者においても今回と同様の検討を行っていく予定である。
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