1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08770547
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
田村 真通 秋田大学, 医学部, 助手 (10270844)
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Keywords | 全身急速凍結法 / 胎生期循環 / 肺動脈径 / 循環適応 / 卵円孔 |
Research Abstract |
ラット全身急速凍結法を用い、胎仔ラット(Wistar種)の心大血管系の形態変化を観察し、胎生末期における新生児循環への適応様式について考察した。計測項目として左右心室容積、主肺動脈径、左右肺動脈径(近・遠位部)、右上肺静脈径、動脈管径、上・下行大動脈径、上・下大静脈径、卵円孔径、一次中隔長を選択した。 [結果]胎仔ラットの体重は胎生17日から21日にかけて337%と著名に増加した。また卵円孔径以外の各項目計測値も直線的に増大した(p<0.0001)。中でも左右肺動脈、上行大動脈の発育は著しく、増加率は100%を超えた。主肺動脈と動脈管との関係に注目すると、胎生17日では動脈管径が主肺動脈径より太い(p<0.05)が、胎生21日では主肺動脈径が動脈管径を上回った(p<0.01)。一次中隔長は胎生17日から21日まで92%長くなるのに対し、卵円孔径は逆に14%減少した(p<0.05)。 [考察]以上の結果より胎生末期の胎仔ラットでは、肺血流量増加がみられ、また一次中隔長の成長により卵円孔径は相対的・絶対的縮小を示す。その結果、右左短絡で左房に流入していた血流が肺循環系へと向かい更に肺血流量を増加させると考えられた。この様に胎生末期においては出生後の新生児循環への適応準備として肺血流量増加と卵円孔を介する右左短絡量の減少が起こり、これらは左心室の発育に大きく関与すると思われた。
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