1996 Fiscal Year Annual Research Report
小児糸球体腎炎におけるp75遺伝子の発現解析とその臨床応用
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08770582
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
岡藤 隆夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40266599)
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Keywords | 神経成長因子 / 神経成長因子受容体 / 糸球体腎炎 / p75 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
研究目的: 神経成長因子(NGF)は神経細胞の分化・成長に必須の因子であり、その作用は細胞表面上に存在する特異的受容体(NGFR)と結合することによって発現される。これまで我々はNGF/NGFRカスケードの神経細胞内での発現調節機構につき研究を行ってきたが、この過程で2種類のNGFR受容体のうち、p75が非神経系組織においても発現し、またp75が腎の形態形成に関与することも明らかとなった。本研究では小児期の腎疾患発症に関与するp75の役割、さらにp75の小児腎疾患における予後判定/治療効果判定因子として有用性につき検討する。 研究結果: 1.小児腎疾患におけるp75発現の免疫組織学的検討:腎生検材料につき、p75に対する特異的抗体を用いた間接蛍光抗体による免疫組織染色を行い、観察した。陽性細胞が一部の腎組織に認められたが、糸球体構成細胞のマーカーとなりうる特異抗体との2重染色では固定上の問題からか、その同定は困難であった。今後は臨床的予後と陽性度との間に相関関係があるか否かを統計学的に検討する予定である。 2.in situハイブリダイゼーションによるp75mRNA発現の検討:腎生検例の凍結切片につき、p75mRNAに対するアンチセンスRNAをプローブとしたin situハイブリダイゼーションを行い、ヒト腎組織の発達段階におけるp75の発現とその局在を明らかにすることを試みている。 3.神経栄養因子mRNAの発現検討:神経栄養因子およびその受容体の腎における発現をcRNAを用いたin situハイブリダイゼーションにて検討する目的から、プローブとなるp75、trkA、trkB、trkCcDNAのクローニングを行った。今後これらの発現の有無、局在を各種糸球体腎炎で検討予定である。
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