1996 Fiscal Year Annual Research Report
筋肉細胞を標的としたリソゾーム蓄積症の遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
08770585
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小林 博司 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 助手 (90266619)
|
Keywords | ムコ多糖症VII型(Sly病) / β-glucuronidase / アデノウイルス / 肝脾臓細胞 / 筋芽細胞 |
Research Abstract |
平成8年度はムコ多糖症VII型(Sly病)の欠損酵素であるβ-glucuronidaseを発現する組換えアデノウイルスをモデルマウスの筋肉内に投与した。これは筋肉に多量のβ-glucuronidaseを発現させ、そこから分泌される酵素により全身の細胞の酵素欠損を矯正しようというものである。筋肉内でのβ-glucuronidaseの発現は投与後約2週にわたり観察された。最高でヘテロ活性の40%まで上昇した。筋肉内以外の組織では肝臓、脾臓にもその活性は認められた。この発現量は投与量依存性に上昇した。しかしながらアデノウイルスの1X10^<10>pfuの投与でもムコ多糖の蓄積を軽減させるまでには至らなかった。肝臓、脾臓を活性染色し酵素を発現している細胞をin situで検討してみると広汎に肝脾臓細胞に酵素が発現しているというより限局した細胞にのみ非常に高い活性が認められた。これは筋肉より分泌された酵素が肝脾細胞に取り込まれたというより、直接アデノウイルスがある限局した細胞に感染したことが示唆された。筋肉内の酵素発現も期待したほど上昇しなかった。そこでより高発現を筋肉で得るため新生児期(生後1-2日)のモデルマウスの筋肉内に組換えアデノウイルスを投与した。最近の報告では新生児期のマウスの筋肉へはアデノウイルスが高率に感染すると言われている。現在この新生児期のマウスに関しては筋肉内投与が終了し、各組織でのβ-glucuronidaseの発現および病理像の解析が進行中であるが筋肉の酵素活性は高発現が得られた様である。 筋芽細胞の実験に関しては現在培養が進行中である。新生児のモデルマウスよりRandoらの方法により筋芽細胞を培養した。レトロウイルス、アデノウイルスとも筋芽細胞に高率に感染した。移植実験を準備中である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] H.Kobayashi,et al.: "Testicular Morphological Changes in Children with・・・" Acta Pediar Japonica. (in press). (1996)
-
[Publications] 小林博司 他: "小児の胆石症-胆石を認めた2歳男児例-" 小児科臨床. 48. 1759-1762 (1995)
-
[Publications] 小林博司 他: "小児治療終了後の晩期障害" 小児がん. 32. 434-439 (1994)