1996 Fiscal Year Annual Research Report
^<13>C標識フェナセチンを用いた呼気テストによる新生児肝機能検査
Project/Area Number |
08770591
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
藤野 浩 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80277194)
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Keywords | ^<13>C標識グリシン / 安定同位元素 / 呼気テスト / Gastric emptying / 消化管機能 |
Research Abstract |
^<13>C標識フェナセチンを使用した肝機能検査を行なう予定であったが、その前実験として、^<13>C標識GlycineによるGastric emptying ratesの計測を行なった。 安定同位元素^<13>C-Glycineは水に溶けやすく胃内で吸収されることなく、胃通過後速やかに近位小腸にてactiveにGlycine輸送系にて吸収される。また新生児領域で用いると言う点からも、単純なアミノ酸であるGlycineは安全に用いることができる。今回は、^<13>C標識フェナセチンによる新生児肝機能検査の前実験として、^<13>C-Glycineを用いた呼気テストによる母乳と未熟児用人工乳における新生児のGastric emptyingを評価した。安定同位元素^<13>Cで標識したGlycine(10mg/kg)を授乳前に5%glucoseに溶かし少量加圧濾過減菌ユニット、マイレックスGVにて漉過後、栄養チューブより注入した。その後、100-120ml/kg/day相当の母乳および未熟児用人工乳(SMA-LBW:日本ワイス)を15分で注入した。呼気の採取は、注入直前、注入後30分毎(2時間まで)、以降15分毎(3時間まで)、60分毎(6時間まで)の計12回行なった。投与した^<13>C-Glycine由来の呼気中^<13>CO2が呼気中にどのくらいの割合で出現するかをCO2%dose/hrとして表現し、更にその累積値をcumulative CO2%doseとして表現した。 CO2 excreation curveのピーク時間は、母乳153分、人工乳148分と差は認めなかった。また、^<13>CO2の出現のピーク値も両者の間で有意差を認めなかった。呼気中CO2%doseも360分値でそれぞれ、母乳22.6%dose、人工乳21.3%doseと有意差を認めなかった。 この結果をふまえ、今後、^<13>C標識フェナセチンを使用した呼気テストによる、新生児肝機能検査を行なっていこうと考えている。また、この安定同位元素を使用した呼気テストは非常に簡便かつ安全に、そして正確に新生児の消化管機能を評価することができ、今後スタンダードな方法と成りうるものと考えている。
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