1996 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病冠状動脈病変の血管内皮機能(血管内エコー法、アセチルコリンを用いた臨床病理学的検討)
Project/Area Number |
08770606
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
杉村 徹 久留米大学, 医学部, 助手 (80248400)
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Keywords | 川崎病 / 血管内エコー / アセチルコリン / 動脈硬化 / 小児 |
Research Abstract |
川崎病既往例および冠状動脈病変を認めないコントロール例において,冠状動脈造影検査と同時に血管内エコー図検査,またアセチルコリンの冠状動脈内注入を行なった. 血管内エコー図所見 ボストンサイエンス社製,3.5F,30MHzの血管内エコーカテーテルを用いた.コントロール群および川崎病例で冠状動脈瘤を認めなかった部位においては,冠動脈血管壁の3層構造は抽出されず,単一の平滑な一層構造が抽出された.一方急性期冠動脈瘤をみとめ消退した部位では,血管壁の3層構造が抽出され内膜の肥厚を認めた.また狭窄病変部では,強い石灰化を示唆するエコー輝度の増強,および,不整な内膜像が抽出され,動脈硬化を示唆する病変像を観察しえた. アセチルコリン負荷 冠状動脈内皮の生物学的機能を評価するために,内皮依存性血管拡張剤であるアセチルコリン15μgを選択的に冠状動脈へ注入し,拡張能を評価した. (1)コントロール群,川崎状既往例では,(2)急性期に冠状動脈瘤を認めなかった部位:正常部群,(3)冠動脈瘤が消退した部位:regresion群,(4)冠状動脈瘤および狭窄病変が残存する部位:異常群に分類し,アセチルコリン注入による冠状動脈径の変化率を比較すると,異常群はコントロール群,正常部群と比較して有意に低値であり,拡張率の低下を認めた(P<0.0001).一方,正常部群は,コントロール群と有意差を認めなかった. 今回の研究結果から,冠状動脈の異常が残存している例では,器質的変化のみならず,機能的にも拡張能が低下しており,動脈硬化の危険因子の可能性が示唆され,長期的な経過観察が必要であると考えられた.
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Research Products
(1 results)