1996 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病患者免疫機構の分子遺伝学解析;TNF-α産性能と疾患との関連性
Project/Area Number |
08770610
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
神薗 慎太郎 久留米大学, 医学部, 助手 (30261077)
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Keywords | 川崎病 / 遺伝的背景 / TNF-α産生能 / TSST-1 / 黄色ブドウ球菌培養上清 |
Research Abstract |
川崎病の発症における遺伝的背景を明らかにするために、各種mitogen刺激に対する川崎病既往者(既に健康状態にある)とその健常非罹患兄弟、及びcontrol群における末梢血リンパ球TNF-α産生能を比較検討した。 方法は末梢血単核球をConA、PMA、TSST-1、及び急性期患児より分離された表皮ブドウ球菌(S-2)、黄色ブドウ球菌培養上清(S-6)で刺激し、20時間及び60時間培養後の上清中のTNF-αの濃度をELISA法により測定した。検定はMann-Whitney′s U testを使用した。 結果は川崎病既往群(KD群)と非川崎病群(non-KD群)のTNF-α産生能の比較では60時間でのTSST-1(p=.0266)及び、S-6(p=.0078)刺激でKD群での有意な高TNF-α産生性が認められた。TNF-α産生性の遺伝的影響を考慮するために、KDfamily(KD群とその兄弟)と非川崎病家系群(control群)との間のTNF-α産生量の比較を行った。60時間のTSST-1(p=.0010)、S-6(p=.0039)刺激でKD群に有意な高TNF-α産生量を認めた。川崎病兄弟群とcontrol群との比較でもTSST-1(p=.0205)、ConA(p=.0207)刺激で有意差を認めた。KD群とその兄弟群との間には有意差は認めなかった。 川崎病既往者は、川崎病に罹患したことのない者に比べ、黄色ブドウ球菌由来の毒素であるTSST-1やS-6の刺激で高いTNF-α産生能を示した。また川崎病既往者だけなくその健常兄弟においてもTNF-α高産生性が認められることより、TNF-α産生性能は遺伝的に規定されることが示唆される。
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