1996 Fiscal Year Annual Research Report
悪性黒色腫に見られる癌遺伝子、癌抑制遺伝子のDNAのメチル化の変化
Project/Area Number |
08770624
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
宮村 佳典 秋田大学, 医学部, 助手 (50272034)
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Keywords | DNAのメチル化 / 悪性黒色腫 / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / PCR |
Research Abstract |
本研究を行うにあたっては、多量の悪性黒色腫検体を必要とする。現在、集めている最中であるが、検体数が不十分であるため、DNAのメチル化の測定を行うことができない状態である。問題はそれだけではない、採集した悪性黒色腫組織のなかには多量の正常組織が混入している。正常組織の比率が採集された組織間で異なれば、実験の再現性は低くなる。当初は、この問題を解決する方法として、悪性黒色腫の細胞表面抗原を利用し、Magnetic Cell SorterやFlowcytometryを用いて悪性黒色腫の細胞を分離しようと考えていた。しかしながらこれらの方法には、多くの細胞が必要とされるため腫瘍組織が小さい場合には使えない。またこれらの分離法に用いるため、皮膚組織を細胞単位にまでバラバラにしなければならないが、これは容易な作業ではなく、途中で多くの腫瘍組織が失われると考えられた。このため細胞分離に用いることができるのは、大きな悪性黒色腫のみであり、小さな悪性黒色腫については別の方法を考えねばならなかった。小さい組織片から悪性黒色腫の部位を正確に採取するためには、パラフィン包埋から得た切片を用いるのが良いと思われたが、得られるDNA量が少ないためPCRによるメチル化の定量を行う必要があった。しかしパラフィン包埋切片から得られたDNAは純度、量ともに低いと思われ、制限酵素処理後のPCRを用いた解析は必ずしも最良とは思えなかった。最近、重亜硫酸ナトリウムでDNAを処理するとシトシンはウラシルに変化するが、5-メチルシトシンは変化しないことを利用し、配列の解析からメチル化の測定を行う方法が開発された。今後、本研究はこの方法によって悪性黒色腫のパラフィン包埋切片を用いて癌遺伝子、癌抑制遺伝子のDNAのメチル化の変化を調べる予定である。
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