1996 Fiscal Year Annual Research Report
限局性強皮症における皮膚グリコサミノグリカンの二糖分析に関する研究
Project/Area Number |
08770629
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
樋口 忠義 群馬大学, 医学部, 助手 (80272243)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 治 群馬大学, 医学部, 助教授 (90168188)
|
Keywords | 限局性強皮症 / グリコサミノグリカン / 二糖 / 硬化性皮膚疾患 / 病的線維化 / デルマタン硫酸 / ヒアルロン酸 |
Research Abstract |
限局性強皮症は、臨床的に境界明瞭な硬化局面を形成し,病理学的に病的線維化を特徴とする皮膚疾患である.光顕,電顕などで見られる膠原線維の異常沈着はその発症機序解明の鍵と考えられている.一方近年グリコサミノグリカン(GAG)の一分子種であるデルマタン硫酸(DS)が膠原線維の成熟に関連して重要な役割を果たしているという研究報告がある.今回我々は限局性強皮症患者の皮膚硬化部および正常皮膚において皮膚GAGの二糖レベルでの変化を分析した.方法として皮膚真皮より抽出したGAG構成二糖を,当科で開発した1-phenyl-3-methyl-5-pylasolone (PMP)で蛍光標識した後,HPLCで分離、定量する方法(PMP法)を用いた。その結果,硬化部皮膚では,正常部に比しDS主構成二糖である△Di-4S(DS)の増加とヒアルロン酸主構成二糖△Di-HAの減少を認めた。さらに硬化部と正常部の皮膚培養細胞(3次元培養による)の産生する二糖組成についても検討した.結果,硬化部の培養細胞では正常部に比し,△Di-4S(DS)/△Di-HAは増加しており皮膚組織の二糖組成の変化と合致する傾向をみとめた.また,一例において,病変の辺縁の発赤部(病変初期:組織学的に発赤部の方が硬化部に比し真皮は薄く,浸潤細胞が多い)および硬化部の皮膚二糖組成を分析したが,発赤部では正常皮膚および硬化部に比してコンドロイチン硫酸A由来の△Di-4S,およびコンドロイチン硫酸C由来の△Di-6Sが増加していた.これらの結果より限局性強皮症の硬化病変と皮膚真皮GAG代謝には密接な関連があると考えた.本疾患の進行とGAGの相関をあきらかにすることは,本疾患の病態を解析するのに役立ち,本疾患を含めた種々の硬化性皮膚疾患の病的線維化,皮膚硬化の発症機序を知るうえで重要と考えている.
|
-
[Publications] Yoko Yokoyama: "Disaccharide analysis of skin glycosaminoglycans in localized scleroderma." Dermatology. (accepted).
-
[Publications] Sachiko Akimoto: "Generalized morphea with vascular involvement : a case report and disaccharide analysis of the skin glycosaminoglycans." Acta Derm Venereol (Stockh). 76. 141-143 (1996)
-
[Publications] Yumiko Takahashi: "Disaccharide analysis of human skin in sun-exposed and sun-protected skin of aged people" J Dermatol Sci. 11. 129-133 (1996)
-
[Publications] Madoka Sato: "Focal dermal hypoplasia (Goltz syndrome) : A decreased accumulation of hyaluronic acid by fibroblasts in the three-dimensional culture." Acta Derm Venereol (Stockh). 76. 365-367 (1996)