1996 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎のダニ抗原誘発皮疹におけるサイトカイン産生の経時的解析
Project/Area Number |
08770631
|
Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
山田 伸夫 山梨医科大学, 医学部, 講師 (50230470)
|
Keywords | アトピー性皮膚炎 / サイトカイン / ダニ抗原 / IL-6 / IL-7 / パッチテスト / 好酸球 / 接触性皮膚炎 |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎の発症機序を明らかにするために、重症アトピー性皮膚炎患者のダニ抗原誘発皮疹における経時的な組織学的変化およびRT-PCRによるサイトカインの解析を行い、すでに昨年度までに組織学的には顕著な好産球浸潤を示し、IL-4、IL-5などのTh2タイプのサイトカインの皮膚病変内における増加が関与していることを示した。本年度はさらにJL-1beta、IL-2、IL-3、IL-6、IL-7、IL-8、IL-12などその他のサイトカインおよびRANTESなどのケモカインに対応したプライマーを設計し、ダニ抗原誘発皮疹における経時的解析を行い、さらにハプテンによる接触性皮膚炎、薬疹、乾癬などの皮膚生検標本と比較検討した。その結果IL-6の貼付12時間以降の増加、およびIL-7の無疹部における弱い発現と貼付後2時間から24時間までの速やかかつ顕著な増加が検出された。アトピー性皮膚炎の皮膚局所におけるこれらのサイトカインの発現は以前に報告がない。IL-6はIL-4と協働的にダニ抗原特異的IgE抗体産生の増加に、IL-7は皮膚浸潤リンパ球の増殖に関与している可能性がある。さらにハプテンによる接触性皮膚炎や薬疹など他皮膚炎においてもIL-7の発原が認められ、皮膚における炎症とIL-7との関連が示唆された。抗IL-7およびIL-7受容体抗体を用いた免疫組織化学染色では表皮がIL-7を発現し、基底膜に沈着し、浸潤リンパ球がIL-7受容体を発現している所見が観察された。 さらにダニ抗原を除去した後放置した皮疹では好酸球は消失するが好酸球由来の顆粒蛋白は残存し浸潤細胞はリンパ球が主体となり、アトピー性皮膚炎の慢性皮疹との類似性が示唆された。この過程でJL-12が関与している可能性を考え解析を行ったが、有意の発現増加は認められなかった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Nobuo Yamada: "changes in eosinophil and leukocyte infiltration and expression of IL-6 and IL-7 messenger RNA in nite allergen patch test reactions" Journal of Allergy and Clinical Immunology. 98. S201-S206 (1996)
-
[Publications] Motoshi Wakugawa: "chronologic Analysis of Eosinophil Granule Protein Deposition and Cell Adhesion Molecule Expression in Mite Allergen Cnduced Dermatitis" International Archives of Allergy and Immunology. 111. 5-11 (1996)