1996 Fiscal Year Annual Research Report
結節性硬化症に発生した皮膚腫瘍、及び孤発性皮膚腫瘍におけるTSC2遺伝子の解析
Project/Area Number |
08770658
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
久保 宜明 徳島大学, 医学部, 助手 (10260069)
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Keywords | 結節性硬化症 / TSC2 / 皮膚腫瘍 / Loss of heterozygosity / PCR-SSCP |
Research Abstract |
結節性硬化症(TSC)は、常染色体優性遺伝形式をとる代表的な母斑症であり、16p13領域に局在するTSC2遺伝子は、本症の原因遺伝子のひとつとして同定された。TSC患者に発生した腎や心臓の過誤腫において、16p13領域にLoss of heterozygosity(LOH)が認められ、TSC2遺伝子は癌抑制遺伝子であると考えられている。 3例のTSC患者に発生した爪囲線維腫等の皮膚腫瘍、3例の孤発性aquired fibrokeratoma、21例の有棘細胞癌において、凍結、またはパラフィン包埋組織より切片を作成し、腫瘍部分と正常組織部分のDNAを抽出した。次に、TSC2遺伝子領域(16p13)のマイクロサテライトマーカーであるD16S291のプライマー、及びTSC1遺伝子領域(9q34)のマイクロサテライトマーカーであるD9S66とD9S150のプライマーを作成し、Mg濃度やアニーリング温度等のPCRの条件を決定した。現在、上記の皮膚腫瘍において、Loss of heterozygosity(LOH)の有無を検索中であるが、今までのところ明らかなLOHを認められていない。 また、TSC2遺伝子のgenomic DNA配列に対応する数個のプライマーセットを作成し、現在PCR-SSCP解析を進めている。なお、別の癌抑制遺伝子であるp16遺伝子に関して、併行してPCR-SSCP解析を進めていたが、有棘細胞癌21例中3例において遺伝子内変異を見出し、一部の有棘細胞癌の癌化においてp16遺伝子変異が一役を担っているものと考えられた。 今後、TSC患者に発生した皮膚腫瘍、及び孤発性皮膚腫瘍において、TSC2遺伝子変化を引き続き検討し、腫瘍発生機構解明や診断、治療に向けて役立つ新しい知見を得たいと考えている。
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Research Products
(1 results)