1996 Fiscal Year Annual Research Report
重症先天性魚鱗癬における角層のセル・エンベロープ構成蛋白の微細局在部位の解明
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08770700
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Research Institution | Kitasato Institute |
Principal Investigator |
秋山 真志 社団法人北里研究所, 北里研究所病院・皮膚科, 研究員 (60222551)
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Keywords | 先天性魚鱗癬 / セル・エンベロープ / インボルクリン / ロリクリン |
Research Abstract |
1,皮膚組織材料の準備 本人または保護者の同意にもとづき正常人および重症先天性魚鱗癬患者(葉状魚鱗癬2例、Dorfman-Chanarin症候群(先天性魚鱗癬症候群)1例、水疱型魚鱗癬様紅皮症2例)より、皮膚組織を採取し、形態学的観察用、免疫組織化学染色用、および、免疫電子顕微鏡観察用に、それぞれ処理した。免疫電子顕微鏡観察用には、皮膚組織を-190°C液体プロパン中で凍結固定、-80°Cに保ったままアセトン置換(凍結置換)し、Lowicryl KllM樹脂中に包埋した。 2,形態学的および免疫組織化学的観察 超微形態学的にそれぞれの型の魚鱗癬に特徴的な異常を認め、各症例とも確定診断し得た。免疫組織化学的には葉状魚鱗癬症例でcornified cell envelope(CCE)前駆蛋白の分布異常が、また、水疱型魚鱗癬様紅皮症例では、角化型ケラチンの分布異常が見られた。 3,免疫電子顕微鏡法による観察 超薄切片を作成、抗インボルクリン、ロリクリン、small proline-rich proteins抗体を用いて抗原局在部位を明らかにした。正常皮膚および2例の水疱型魚鱗癬様紅皮症例では各CCE前駆蛋白は角化細胞の細胞膜近傍、すなわち、CCE形成部位に一致して認められた。葉状魚鱗癬の2例ではCCE前駆蛋白の多くが細胞質内に留まっている像がみられた。このことは、CCE前駆蛋白の細胞膜へのcross-linkingの異常が葉状魚鱗癬の発症病理と関連しているとの仮説を裏付けるものであった。 4,今後の研究の展開に関する計画 今回、CCE前駆蛋白の局在の異常が葉状魚鱗癬2例で認められたが、今後さらに多くの症例について検討する必要がある。また、葉状魚鱗癬に近い臨床像を呈するコロジオンベビ-、道化師様胎児等、他の疾患についても検討を行う計画である。
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