1996 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴を利用した放射線誘発アポトーシス生体内検出の基礎的研究
Project/Area Number |
08770711
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊藤 猛 新潟大学, 医学部, 助手 (20240773)
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Keywords | 放射線誘発アポトーシス / ^<31>P-MRS(Magnetic Rescunce Spectroscopy) |
Research Abstract |
最初に,我々の教室で継代培養しており,経験が豊富なC3H/HeNマウス乳癌由来のFM3A細胞を用いることとし,同細胞を同型雄性マウス大腿部に移植し,実験用の6.3TNMR装置で31P-magnetic Resonance spectroscopy(以下MRS)を測定した.このとき,通常放射線照射による分裂死が起こるとされる24時間に達するかなり前にあたる照射後8時間でMRSの測定を行い各ピーク値の強度を測定したところ,20Gy照射時ではPi/β-NTPratio,PME/β-NTPratioの一過的な変動が観測されたが,個体間でばらつきが大きく,一定の傾向としてまとめることはできなかった.また40Gy照射後でも同じような変化が観測された.この現象は間期死であるアポトーシスによる変化である可能性と推測したが,この細胞系は放射線感受性が比較的低く,アポトーシスのモデルとしては不適当であったのではないかと考え,続いて放射線誘発アポトーシスを起こしやすいことが知られているヒト白血病由来Molt-4細胞を使用して実験を行うこととした.この細胞を1,2,4Gy照射したあとエリスロシンBで染色し,Die exclusion testでアポトーシス細胞の計測した.やく8時間で20〜40%の細胞が死ぬことが確認された.これはMRSで変化が観測された時間と近い値である.続いて同細胞をマウスに移植してMRSを測定しようとしたが,この細胞系はヒト由来であり,ヌードマウスでも移植が思うように行かず,MRSの測定までいたらなかった.今後の研究としては,単離細胞のままMRSを測定する工夫をこらすか,あるいはFM3A細胞に抗ガン剤などのModulatorを併用してアポトーシスを起こしやすくするなどの方法が考えられ,研究を継続する予定である.
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