1996 Fiscal Year Annual Research Report
統合的脳機能代謝画像法のための3次元磁気共鳴スペクトル画像法の開発と実用化
Project/Area Number |
08770742
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
古谷 誠一 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (10271173)
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Keywords | プロトン化学シフト画像法 / 3次元磁気共鳴スペクトル画像 / グラディエントエコー法 / 脂肪抑制 / ヒト脳機能代謝 / 高速2次元スペクトル画像法 |
Research Abstract |
私は臨床用磁気共鳴画像装置を用いて、プロトン化学シフト法の実用化を行って多くの臨床データを収集してきた。この測定における問題点のひとつは測定範囲が制限されていることである。これを解決するため、今回3次元磁気共鳴スペクトル画像を立案した。今回の研究にて、これまでに実用化してきた測定方法の改良をはかった。当初予定した当施設で保有する動物実験用MR装置による実験は、実際の有効な測定には多くの調整項目が残されて実際の測定にはいたらず、本年はこの装置を最大限の能力を引き出して稼動させるためのノウハウの蓄積を行った。このため、臨床用MR装置(1.5T, MEGNETOM)による測定方法の改善を図った。現在の測定法において測定領域が制限されている主な原因は脂肪の混入によるスペクトルの劣化であり、これを解決する必要がある。脂肪抑制法としては、周波数選択的に脂肪を飽和する方法・縦緩和時間が短いことを利用して反転パルスによってい抑制する方法・部位選択的に飽和パルスを照射する方法がある。今回、測定の高速化を図るためグラディエントエコー法による励起法を開発中であり、部位選択的に飽和パルスを照射する方法による脂肪抑制を加えたシーケンスを開発した。これによって、ヒト脳の測定で、測定領域の制限を緩和し、解析に十分なスペクトルを得ることができた。実際の3次元測定にはいたらなかったが、マルチスライス法または3次元位相エンコード法によって、実用時間内で3次元磁気共鳴画像法による測定が可能となることを実証した。グラディエントエコー法と部位選択的に飽和パルスを照射する方法による組み合わせで、領域制限を緩和した高速2次元スペクトル画像法で、脳神経疾患に適応して脳代謝異常を測定した。これによって脳代謝・脳機能・微小脳循環の統合的脳機能代謝解析法を確立する目途をえた。
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[Publications] 古谷誠一: "I. functional MRI 概説・運動野を中心とした測定の実際" 臨床画像. 13・3. 236-245 (1997)
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[Publications] 成瀬 昭二: "磁気共鳴スペクトロスコピー" 脳と循環. 1・1. 85-93 (1996)
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[Publications] 成瀬 昭二: "磁気共鳴法による脳機能画像" 臨床放射線. 42・2. 189-198 (1996)
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[Publications] 成瀬 昭二: "Functional MRI : fMRIの信号機序とエコープラナーイメージングによる脳機能の同定" 脳神経外科. 24・1. 7-17 (1996)
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[Publications] 成瀬 昭二: "磁気共鳴画像(MRI)" 脳と循環. 1・2. 169-177 (1996)
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[Publications] 成瀬 昭二: "磁気共鳴画像(MRI)による脳機能代謝画像の解析(1)-磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)-" 日本醫事新報. 3779. 11-20 (1996)