1996 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病脳のアミロイドβ蛋白生成酵素の同定に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
08770781
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
続 佳代 札幌医科大学, 医学部, 助手 (60207420)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / アミロイド前駆体蛋白 / クロロキンミオパチー / rimmed vacuole / セクレターゼ |
Research Abstract |
クロロキンミオパチーはアルツハイマー病のアミロイド病変のモデルと考えられる。この筋病変を用いた本研究によって以下のことを明らかにした。 1.この筋病変の経時的変化を抗Aβ抗体を用いた免疫染色で観察すると、クロロキン投与14日目より空胞内や空胞周囲が染色された。投与14日目の切片にAβ40、Aβ42を認識する断端特異抗体(BC40、BC42)を用いて染色すると、抗Aβ抗体で染色されるほぼ半数がBC42で、また一部がBC40でも染色された。この筋病変ではAβ42が優位であり、Aβ40、Aβ42のN端ならびにC端を切断するβ、γ-セクレターゼが実際に存在していることを明らかにした。 2.この病変筋にAβが存在するか否かを生化学的に検討した。病変ヒラメ筋を各種プロテアーゼインヒビター添加リン酸緩衝液中でホモジナイズし、蛋白を可溶化した。Tris-tricine電気泳動後PVDFメンブランに転写し、抗Aβ抗体にて免疫反応を行った。投与14日目より、抗Aβ抗体と反応する3、および4kDaの明瞭なバンドが検出された。この3および4kDaの断片は、p3ならびにAβに相当すると考えられる。現在sequencingを試みている。 3.セクレターゼを同定するために、病変ヒラメ筋をEDTA添加リン酸緩衝液中でホモジナイズし、遠心法により抽出液(粗酵素液)を得た。この粗酵素液に組み換え大腸菌より精製したアミロイド前駆体蛋白(APP)を加え、APPの処理過程を経時的に観察した。粗酵素液を作用させたAPPには未処理APPにはみられない幾つかのAβに関連する断片がみられた。このバンドをdirect microsequencing法にてアミノ酸配列の決定を試みている。 また、基質として大腸菌由来のAPPより純度の高いAβのN端、およびC端を含む合成ペプチドを用いて同様の検討を行いセクレターゼの同定を試みている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tsuzuki K et al: "Snake coiled fibers in rat soleus muscle in chloroquine induced myopathy share immunohistochemical characteristics with amyloid depositions in Alzheimer's disease brain" Int J Exp Pathol. 77. (1996)
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[Publications] Tsuzuki K et al: "Immunohistochemical evidence for Aβ40 and Aβ42 in rat soleus muscle in chloroquine-induced myopathy" Neurobiology of Aging. 17. 63 (1996)
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[Publications] 続 佳代 他: "クロロキンラットとアミロイド病変" 老年期痴呆研究会誌. 9. 1-5 (1996)
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[Publications] 深津 亮 他: "アミロイド前駆体蛋白の生物学的特徴とアルツハイマー病" 臨床病理. 44. 213-224 (1996)
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[Publications] 深津 亮 他: "脳の老化と痴呆" 北海道医学雑誌. 71. 297-301 (1996)
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[Publications] 深津 亮 他: "アルツハイマー病-最近の知見-" 北海道医学雑誌. 72. 3-11 (1997)