1996 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスに対する中枢神経応答における一酸化窒素合成酵素の役割
Project/Area Number |
08770793
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新谷 太 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90276379)
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Keywords | 一酸化窒素 / 脳 / リポポリサッカライド / NOS / mRNA / RT-PCR / LPS / 中枢神経系 |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)は、生体内においてL-arginineからNO合成酵素(NOS)によって生成されるフリーラジカルである。中枢神経系におけるNOSには、神経型NOS(nNOS)が定常的に発現していることが知られている。また血管内皮細胞や肝細胞等においては、lipopolysaccharide(LPS)の刺激によって、誘導型NOS(iNOS)の発現が引き起こされることが知られている。一方、中枢神経系においてiNOSの発現が誘導されるかどうかについては否定的な見解が多かった。今回、われわれは微量のRNA発現も検出可能なPT-PCR法を用いることによって、ラット(SD系雄性、8-10週令)の腹腔内に投与した15mg/kgのLPSが、脳内におけるiNOSmRNAの発現を促すかどうかについて調べた。なお、対照群のラットには生理食塩水の腹腔内投与をおこなった。その結果、まず、LPSを投与する前のラット脳内にはiNOSmRNAの発現を認めなかった。ラットにLPSを投与した3時間後から全脳中のiNOSmRNAの発現が認められ、6から12時間をピークに24時間後まで発現を認めた。また、対照群のラットではiNOSmRNAの脳内発現を認めなかった。今回の結果は、脳内でiNOSが誘導される証拠を提供することになると思われる。また、脳内において微量に発現されるiNOS遺伝子のPR-PCRを用いた半定量的測定の方法を確立できたと考えられる。
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