1996 Fiscal Year Annual Research Report
発作性夜間血色素尿症における異常細胞の優位性獲得のメカニズムの解明
Project/Area Number |
08770848
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 徳光 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (80252708)
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Keywords | 発作性夜間血色素尿症 / GPIアンカー / HMGI-C / PIG-A / 12q13-15 |
Research Abstract |
発作性夜間血色素尿症(PNH)では、PIG-Aの異常によるGPIアンカーの欠損のみではなく、その異常細胞が、優位性を獲得する必要がある。我々は、優位性獲得のメカニズムを明らかにする目的で、12番染色体に相互転座12qt(13;15)を認めるPNH症例J20を解析してきた。 (1)J20の経過観察 1994年時に、PGIアンカー型蛋白であるCD59の欠損率は、赤血球において55.7%、PMNにおいて24.2%であったが、1996年の9月には、それぞれ76.9%、60.9%、11月には、86.3%、67.8%と上昇した。しかし、リンパ球におけるGPIアンカー欠損は認められなかった。骨髄細胞における染色体検査より、約8割の細胞に12番染色体の転座を認めた。この率は、末梢血細胞におけるGPIアンカー欠損率とほぼ一致しており、GPIアンカー欠損末梢血細胞のほとんどが、この染色体異常を持つ細胞由来であると考えられる。 (2)転座部位の解析 この転座部位を明らかにする目的で、中胚葉性細胞由来の良性腫瘍発症に関わる候補遺伝子であるHigh Mobility Group protein HMGI-Cに転座があるかどうか調べている。まず、Chada博士(ニュージャージー医科歯科大学)より供与されたHMGI-C遺伝子の最も5'領域のExon 1,2を含むファージクローンと、3'領域のExon 5を含むファージクローンをそれぞれプローブとして、FISH法により染色体の位置を決定した。その結果、これらのプローブはそれぞれ、12番染色体のみにハイブリダイズした。脂肪腫に認められる転座点は、すべて、これらのプローブの間に存在しており、これらのプローブを同時に使用することにより、転座点が、HMGI-Cに存在するかどうか同定できるはずである。現在、症例J20の骨髄染色体標本において、HMGI-Cの遺伝子上に、転座点が存在するかどうか検討中である。
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[Publications] Kinoshita,T.et al: "Role of phosphatidylinositol-linked proteins in paroxysmal nocternal hemoglobinuria pathogenesis." Annu.Rev.Med.47. 1-10 (1996)
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[Publications] Takahashi,M.et al: "PIG-B,a membrane protein of the endoplasmic reticulum with a large lumenal protein,is involved in transferring the third mannose of the GPI anchor." EMBO J.15. 4254-4261 (1996)
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[Publications] Watanabe,R.et al: "PIG-A and PIG-H,which participate in glycosylphosphatidylinositol-anchor biosynthesis,form a protein complex in the endplasmic reticulum." J.Biol.Chem.271. 26868-26875 (1996)
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[Publications] Inoue,N.et al: "PIG-C,one of the three human genes involved in the first step of glycosylphosphatidylinositol biosynthesis is a homologue of Saccharomyces cerevisiae GPI2." Biochem.Biophys.Res.Commun.226. 193-199 (1996)
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[Publications] Nishimura,J.: "A patient with paroxysmal nocturnal hemoglobinuria bearing four independent PIG-A mutant clones." Blood. 89(in press). (1997)