1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08770853
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
高橋 徹 札幌医科大学, 医学部, 助手 (70253995)
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Keywords | MUC1 / CTL / 多発性骨髄腫 |
Research Abstract |
未治療多発性骨髄腫患者の骨髄単核球細胞を、MUC1を発現している数腫の異なる腫瘍細胞株で順に刺激し、6例中2例の患者からCTLラインTSとKYを確立した。TSはCD8陽性T細胞が主体で、KYはCD4陽性細胞が主体であった。TSおよびKYは骨髄腫細胞株や乳癌細胞株を幅広く障害したが、NK細胞感受性のK562は障害しなかった。障害された細胞株のHLA-A、B、C、DRlocusのDNA typingでは特定のHLA拘束性は認めず、また抗HLA抗体による障害性の抑制も認めなかった。MUC1トランスフェクタントを用いた細胞障害性実験や抗MUC1抗体による抑制試験により、これらのCTLはHLA非拘束性にMUC1を認識していることが示された。KYの障害性にapoptosisが関与しているかについても検討したが、はっきりとした結果はえられなかった。またヒト大腸癌細胞株CHCY-1にMUC1をトランスフェクトした細胞株を糖鎖合成阻害剤benzyl-a-GalNacで処理すると細胞障害性は増強し、脱糖鎖に、よりCTLエピトープが表出することが示された。またCHCY-1のMUC1トランスフェクタントを糖鎖合成阻害剤処理し、cellular vaccinationとしての有効性を検討した。健常人末梢血リンパ球を本細胞で刺激したところ、CTLラインこそ確立できなかったものの、培養14日目のリンパ球でcold target inhibition assayにてMUC1に対する障害性が検出された。またB7とMUC1を同時に発現している細胞株がvaccineとしてより有効であると考え、各種細胞株をスクリーニングしたところRPM1788が選びだされた。本細胞のvaccineとしての有効性を検討中であり、さらに本細胞にMUC1を遺伝子導入し、MUC1を大量発現させたRPM1788細胞を作製し、免疫遺伝子療法としての有効性を検討する予定である。
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[Publications] Noto H,Takahashi T: "Cytotoxic T lymphocytes derived from bone marrow mononuclear cells of multiple myeloma patients recognize underglycosylated from of MUC1 mucin." Int.Immunol.9・5(印刷中). (1997)
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[Publications] Imai K,Takahashi T: "Expression of the mucin gene in the gastrointestinal tract." Gastrointestinal Function.Regulation and Disturbances. 14. 71-78 (1996)
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[Publications] 高橋 徹: "癌抗原としてのムチン" 血液・免疫・腫瘍. 1・1. 77-82 (1996)
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[Publications] 高橋 徹: "MUC1分子を標的とした免疫療法" バイオセラピー. 10・10. 1304-1311 (1996)
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[Publications] 高橋 徹: "MUC1遺伝子を用いた新しい免疫療法" Mebio. 13・11. 50-56 (1996)
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[Publications] 高橋 徹: "ムチン抗原遺伝子と宿主応答" シンポジウム炎症と免疫. 5・1. 56-64 (1996)
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[Publications] 日野田裕治: "癌の新しい遺伝子診断と治療" 医薬ジャーナル社, 13 (1996)
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[Publications] 高橋 徹: "「メディカル用語ライブラリー」消化器病[胃・腸・食道]" 羊土社, 1 (1996)