1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08770896
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
松島 雅人 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50246443)
|
Keywords | 糖尿病性腎症 / ACE遺伝子 / ApoE遺伝子 |
Research Abstract |
糖尿病性腎症の疾患感受性遺伝子を規定する候補遺伝子,特に,アンギオテンシンI変換酵素(ACE)遺伝子のIntron16のinsertion/deletion(I/D)polymorphismやApolipoprotein E2(ApoE2)などが注目されているが,一定の結論には達していない.本研究の目的は,症例対照研究によって,腎症の発症・進展に関与する遺伝的マーカーを明らかにすることである.候補遺伝子として,ACE遺伝子およびApoE遺伝子を選び,腎症発症と関連があるかを多変量解析によって評価し,相対危険度を求めた.本研究ではIDDMだけでなく,NIDDMにおいても同様に検討を行った. 東京慈恵会医科大学糖尿病代謝内分泌内科に通院中のIDDM27例,NIDDMの中で腎不全未発症の23例,血清クレアチニン値2.0mg/dl以上の腎不全を伴った12例をそれぞれ無作為に抽出し対象とした.本研究について承諾を得た上で患者から採血した.IDDM患者では,早朝起床後第一尿で2回連続で微量アルブミン値20mg/gCr以上を示した例を症例群に,未満を対照群とした.NIDDMでは,血清クレアチニン値2.0mg/dl以上を症例群,未満を対照群とし,性,年齢,糖尿病罹病期間,過去5年間のHbAlc値とACE polymorphism及びApoE polymorphismを説明変数としてステップワイズ法を用いmultiple logistic regressionを行った.IDDMにおいては,いずれも有意な変数として取り込まれなかったが,NIDDMにおいては,ACE polymorphismのD/D及びD/Iのオッズ比が,10.8[95%C.I.:1.3-88.6]となった.すなわちD/D及びD/Iは,I/Iと比較して10.8倍も腎不全を発症するリスクが高いことが示された.一方,NIDDMにおいても,ApoE polymorphismは,有意な変数として取り込まれず,腎不全発症への影響は明らかでなかった.
|