1996 Fiscal Year Annual Research Report
神経分化制御におけるトロンビン・トロンボモジュリン系の役割に関する研究
Project/Area Number |
08770904
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
常石 秀市 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (10271040)
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Keywords | 神経分化 / トロンビン / ネキシン-1 / トロンボモジュリン |
Research Abstract |
平成8年度は、7年度に検討したネキシン-1とトロンビン機能的レセプター(TFR)に引き続き、トロンビンの主要な膜受容体であるトロンボモジュリン、ならびに強力なセリンプロテアーゼ抑制活性を持つプラスミノーゲン・アクチベータ-・インヒビター1(PAI-1)の神経系細胞における発現をRT-PCR法を用いて検討した。 トロンボモジュリンは翻訳領域ややC末側の1200bpを、PAI-1は翻訳領域ほぼ中央の1375bpを増幅した。両者とも発現を確認できたのはヒト膠芽腫株A172のみであった。トロンビンの2つの受容体、TFRとトロンボモジュリンの両者を発現している神経系の細胞株を確認できなかったため、未検討であるヒト神経芽細胞腫株IMR32、SY5Yについて検討中である。 ネキシン-1とTFRについては、発現を確認できたヒト神経芽細胞腫株GOTOにおいて各種培養条件にてノザンブロットを行った。ネキシン-1は2.4kbに単一バンドを認め、血清除去刺激ではmRNA発現量に差は認められなかった。トロンビン添加刺激では、量依存性に発現量が増加した。またPKC活性化剤添加では、対照の4倍に発現量が増加した。TFRは3.5kbに単一バンドを認めたが、血清除去、トロンビン添加にてもmRNA発現量は変化しなかった。ネキシン-1遺伝子の発現制御には、トロンビン自身のプロテアーゼ活性、あるいは受容体を介した機構、特にPKCを介した機構が関与していることが示唆された。今後、トロンビン受容体活性化能を有するペプチドを作成したので、受容体を介する作用機構を解析予定である。 ネキシン-1のin situ hybridizationをラット脳にて行い、海馬、線状体、皮質錐体細胞層、小脳のプルキンエ細胞層、顆粒細胞層などに発現を確認できた。今後、低酸素虚血負荷モデルにて検討予定である。
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