1996 Fiscal Year Annual Research Report
低出生体重児における蛋白質代謝回転の測定-安定同位元素を用いて
Project/Area Number |
08770913
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
林 智靖 昭和大学, 医学部, 助手 (70218585)
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Keywords | 低出生体重児 / タンパク質代謝回転 / 安定同位元素 |
Research Abstract |
昭和大学病院周産期センターに入院した低出生体重児のうち、先天性心疾患や消化管奇形などの重篤な合併症がなく、授乳が順調にすすんだ8例を対象とした。在胎週数は1,356±185g(mean±SD)、出生体重は31.4±1.6週(mean±SD)であった、母乳で経腸栄養を開始したが。泌乳量が不足したため生後4週より未熟児用人工乳に変更した。生後6週に以下の検討を行なった。授乳は3時間ごとの経管栄養とし、検討期間中の授乳量は150〜170ml/kg/dayで維持した。^<15>Nグリシンを人工乳に混じて注入し、投与開始48時間後より72時間後まで蓄尿した。そして尿中尿素の^<15>N/^<14>N比を質量分析計にて測定した。尿中への^<15>N尿素の排泄がプラトーに達すると、代謝回転=^<15>Mグリシン投与量/(尿素の^<15>N/^<14>N)=摂取量+分解量=排泄量+合成量となる関係を用いて、蛋白質合成量と分解量を算出した。 蛋白質摂取量(窒素摂取量より換算)は3.3±0.2g/kg/day、尿中排泄量(窒素排泄量より換算)は0.6±0.2g/kg/day、蛋白質代謝回転は12.5±3.6g/kg/dayであった。蛋白質合成量は11.9±3.1g/kg/day、蛋白質分解量は9.2±2.7g/kg/dayと算出され、蛋白質蓄積量は2.7±0.2g/kg/dayとなった。 今回の検討より、低出生体重児においては順調に体重が増加している時期の蛋白質合成、分解ともに、従来小児で報告されている値と比べて亢進しているといえる。そして、蓄積量の約4倍の蛋白質合成が行なわれていることが示唆された。
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