1996 Fiscal Year Annual Research Report
抗イディオタイプヒト型モノクローナル抗体を用いた特異的癌免疫療法の基礎的研究
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08770920
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
幸田 圭史 千葉大学, 医学部・付属病院, 助手 (50260477)
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Keywords | ヒト型モノクローナル抗体 / 抗イディオタイプ抗体 / 大腸癌 / 癌ワクチン / 特異的癌免疫療法 |
Research Abstract |
今年度の研究目的として掲げた以下の点につき年度内に得られた知見につき報告する。まずヒト型モノクローナル抗体SK1には直接的な抗腫瘍効果として大腸癌の遊走能を抑制する作用が認められた。すなわち8種類の大腸癌株の遊走能をmicrochemotaxis assayで測定、その結果と細胞に含まれる単位タンパク当りのSK1認識抗原量(Ag-SK1)には相関があり、高濃度のAg-SK1を含む細胞株は高い遊走能を有していた。この遊走能はSK1の投与により濃度依存性に抑制された。細胞を経時的にSK1で免疫染色すると、Ag-SK1は必ずしもある特定の細胞に発現しているわけではなく、細胞の置かれる状況により発現量、発現部位が変化しているらしい。コロニーを作る細胞では常に外側の細胞群(遊走能が高く、活発に細胞分裂を起こしている部位であると考えられる)に強い発現を認めたが2colorFACSで細胞周期と抗原の発現には相関はないことから、Ag-SK1は細胞浸潤ないし遊走に深くかかわる分子であると考えられた。Western Blotでは分子量42、46KDaに2本のbandを認め、既存の浸潤関連抗原(SLA,SLX,Integrin family,E-cadherin)とは交叉反応はなかった。本抗体に対し、マウスでは3株の抗イディオタイプモノクローナル抗体を作成できた。これらの抗体はヒト型モノクローナル抗体SK1と反応するが、SK1の標的細胞に対する反応性をほぼ100%抑制する。現在本イディオタイプ抗体の認識抗原につき解析をおこなっているが、また同時に本抗体に癌ワクチンとしての作用、すなわち投与されたマウスにAb3(抗抗イディオタイプ抗体)、T3(イディオタイプ抗体によって刺激されたTリンパ球)が惹起されるか否かを検討している。ヒト型抗イディオタイプ抗体の作成は困難であり未だ成功していない。
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