1996 Fiscal Year Annual Research Report
モノクローナル抗体(NCC-ST-421)を用いた新しい腫瘍特異的免疫療法の開発
Project/Area Number |
08770934
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石井 良幸 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30255468)
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Keywords | モノクローナル抗体 / 大腸癌 / 免疫療法 / ADCC |
Research Abstract |
ヒト消化器癌に高率に反応するモノクローナル抗体NCC-ST-421と各種サイトカインによって刺激されたヒトリンパ球やヒト癌で誘導されたCTLをeffector cellとして本抗体の抗腫瘍性とくに抗体依存性細胞介在性細胞障害(ADCC)を増強し、新しい癌の特異的免疫法の確立を目的とした. 1),in vitro (1),IL-2によるADCCの増強;IL-2によって刺激されたヒトリンパ球をeffectorに用いると,ST-421のADCCは増強された.この効果はE/Tおよび抗体濃度に依存した.さらにこの増強効果は抗Fc-receptor抗体によって阻害された.したがってFc-receptor陽性のeffector cellがADCCの増強に関与したと考えられた. (2),OK-432によるADCCの増強;IL-2と同様OK-432によって刺激されたヒトリンパ球をeffector cellに用いるとADCCは増強された.その増強効果はE/Tおよび抗体濃度に依存したがOK-432には至適濃度が存在した. 2),in vivo (1),SCIDマウスに抗原陽性のヒト癌を皮下移植し,あらかじめIL-2で刺激したヒトリンパ球と抗体を投与したところ腫瘍の増殖は抑制された. (2),SCIDマウスの脾臓にヒト癌細胞を移植した肝転移モデルにおいて,OK-432と抗体の治療によって転移は完全に阻止された.しかしOK-432単独および抗体単独の治療では転移は抑制されなかった. 以上よりIL-2やOK-432などのサイトカインはST-421の特異的抗腫瘍性を増強することが明かとなった.一方,現在は癌特異的CTLの誘導とST-421のヒト型化の検討を継続している.
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