1996 Fiscal Year Annual Research Report
虚血肝細胞障害における肝細胞内カルシウムイオン濃度上昇の意義に関する研究
Project/Area Number |
08770959
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
斎藤 礼次郎 秋田大学, 医学部, 助手 (90272038)
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Keywords | 虚血肝障害 / 過酸化水素 / アポトーシス |
Research Abstract |
【目的,方法】摘出ラット肝灌流モデルを用い,low flow hypoxiaによる肝障害について検討した.ラット摘出肝灌流モデルにおいて,low flow hypoxiaモデルを作製し以下の検討を行った.(1)生体蛍光顕微鏡下に2'7'dichloro-fluorescin diacetateを負荷し過酸化水素の産生を検出した.(2)セリウム法にて過酸化水素の発生源を同定した.(3)パラフィン切片を用いTUNEL法にてapoptosisを検出した.(4)類洞内皮細胞を特異的に認識するSE-1抗体,Kupffer細胞を認識する抗ラットマクロファージ抗体とTUNEL法との二重染色によってapoptosis細胞を同定した.(5)allopurinolにより活性酸素の産生を抑制しこれによりapoptosisが抑制されるかを検討した. 【結果】過酸化水素の産生はlow flow hypoxia群ではmidzoneを中心にcontrol群に比し有意に強く認められた.セリウム法では過酸化水素の産生は肝細胞と考えられた.TUNEL法によるapoptosis細胞はmidzoneに存在する非実質細胞であった.SE-1抗体,抗ラットマクロファージ抗体とTUNEL法との二重染色によってapoptosis細胞は類洞内皮細胞と同定した.allopurinolの前投与によって過酸化水素の産生は抑制され,これに伴いapoptosisも抑制された. 【結論】low flow hypoxiaによる肝細胞からの活性酸素の産生がapoptosisシグナルとなり,類洞内皮細胞にapoptosisを生じ,これが虚血肝障害の一因と考えられた.necrosisと細胞内カルシウムイオンとの関係については報告されているが,apotosisにおける細胞内カルシウムイオンの意義については報告がなく,現在検討を行っているところである.
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Research Products
(1 results)