1996 Fiscal Year Annual Research Report
胆道上皮の立体培養による先天性胆道形態異常発生機序に関する研究
Project/Area Number |
08770978
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
森 倫人 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (20264161)
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Keywords | 胆嚢粘膜上皮細胞 / コラーゲンゲル培養 / ペプチド成長因子 / 先天性胆道形態異常 |
Research Abstract |
我々は、胎生期における肝胆道系の形態形成が前腸からの肝臓憩室(hepatic diverticulum)の頭側肝窩は肝臓の原基となり、尾側肝窩は拡張して胆嚢を形成しその茎部が胆管となることに着目し、胎生期における形態形成調節機構は上皮-間葉相互作用が重要であり、この両者の異なった形態は周囲の線維芽細胞もしくは線維芽細胞由来の液性因子によって調節されていると考えた。 胆嚢粘膜上皮の形態形成調節機構の解析 家兎胆嚢粘膜上皮を3次元コラーゲンゲル内で培養し初代培養おび継代培養において、各種ペプチド成長因子や線維芽細胞(MRC-5、WI-38、BALB3T3)と同時培養することにより、コラーゲンゲル内の胆嚢上皮の形態調節因子について研究してきた。その結果、胆嚢上皮の形態はHGFやTGF-b等の種々のペプチド成長因子、1991年に平井らによりクローニングされた間葉系細胞の膜蛋白質であるエビモルフィン、さらには線維芽細胞の培養上清中の新規の蛋白質などにより調節されていることが判明し、その過程を組織化学的および超微構造的解析を中心に解明を行ってきた。その結果、超微構造的には上皮細胞の形態形成には極性を持ったVAC(vacuolar apical component)エキソサイトーシスを介した形態形成機構が観察され、免疫組織化学的には細胞間接着分子カドヘリンおよび細胞基質間接着分子インテグリンの発現が密接に関与しており、これらの発現には上記ペプチド成長因子によりその発現に差がみられることが判明した。 また、これらの形態形成に最も関与していると思われる線維芽細胞上清培地中の新規蛋白質のcharacterizationでは、分子量100,000以上の凍結融解および60℃加温にて失活する新規蛋白質であることが判明した。 今後頭側肝窩のインビトロモデルとしての肝内胆管上皮細胞の立体培養を確立し、胆嚢上皮細胞と胆管上皮細胞の形態形成調節機構の相違について検討する予定である。
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