1996 Fiscal Year Annual Research Report
A.Q.法を用いた左心室圧-容積関係による新しい術中心機能解析法の確立
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08771034
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
奥山 浩 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80214089)
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Keywords | 左心室圧・容積曲線 / Acoustic Quantification / ミルリノン / オルプリノン / HANP |
Research Abstract |
Acoustic Quantificafion(以下A.Q)は,超音波の反射信号で血球群からのエコーを識別し自動的に左室内膜と心腔との境界面をトレースできる機能をもっており、これにより左室容積をリアルタイムに測定することができる.左室圧同時記録によりPhysio-Tech.,Co.,Ltd製のMacintosh computer用PV-loop解析用ソフトウェアーMP/PVL ver1.5.0に入力することによりレアルタイムにPV-loopを描くことができるようになった. 今回,ソフトウェアーの解析能力を向上する目的で,power PC対応に改良した. 新ソフトウェアーを用いて下記の項目で検討した. 1.薬物効果 1)PDE阻害剤の臨床的効果において検討した.開心術時人工心肺から離脱した後,ミルリノン,オルプリノンをそれぞれ50μg/Kg,10μg/Kgを5分間で投与し,投与前後においてPV-loopを作製した.2剤ともEmaxは上昇し,EDV・ESVともに減少した.以上より,2剤は心収縮力を改善し,末梢血管拡張をともない左室の前負荷を軽減した. 2)HANPの臨床的効果において検討した.冠動脈バイパス患者において開心術時人工心肺から離脱した後,Carperitideを0.2μg/Kg/min出30分間持続投与する.投与前後においてPV-loopを作製し,尿量の変化を計測した.Emaxに変化は見られず,EDV・ESVともに減少し,尿量は増加した.以上より,HANPは心収縮力には影響せず,末梢血管拡張およぶ尿量増加にともない左室の前負荷を軽減した. 2先天性心疾患において,PV-loopを用いて各疾患の血行動態的特徴を検索し,術後の血行動態の変化から集中治療室での治療に役立てている.特に,術前に比べ術後左室に負荷が増大する疾患(FOT,PVO)に対しては,十分な注意が必要であり,このリアルタイムで視覚的に判断できるPV-loopは有用ある.
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