1996 Fiscal Year Annual Research Report
常温血液心筋保護液におけるNitric Oxideの再潅流障害抑制効果の検討
Project/Area Number |
08771046
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
林田 信彦 久留米大学, 医学部, 助手 (30238141)
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Keywords | 開心術 / 心筋保護法 / 再潅流障害 / nitric oxide / captopril |
Research Abstract |
目的:Nitric oxide (NO)のprecursorであるL-arginine及びNOの競合阻害剤であるL-NAMEの常温血液心筋保護液への添加の効果を再潅流障害抑制効果の面より検討した。さらにFree radical scavengerであるcaptoprilも加え両薬剤添加の再潅流障害に及ぼす影響を検討した。 対象及び方法:サポートラットを用いた血液交叉対外循環モデルを使用した。ラット摘出心に対して1時間の心筋保護心停止及び1時間の再潅流を行い、この虚血再潅流モデルにより評価を行った。心筋代謝、心機能及び接着因子の測定により上記の薬剤の再潅流障害に及ぼす影響を検討した。 結果:再潅流後の心機能では無添加群に比較して、収縮能はL-arginine添加群で良好に温存され、拡張能はcaptopril添加群で良好であった。これらの心機能温存効果はL-NMEを添加することで消去された。L-arginine及びcaptoprilの両薬剤併用群では収縮能及び拡張能ともさらに良好な結果を示した。再潅流後のmalondialdehyde遊出量及び可溶性接着因子(ICAM-1)は無添加群及びに比較し、両薬剤単独添加群で有意に軽減されており、両薬剤併用群では、さらに低値を示した。L-NAME添加群では無添加群と同様の結果であった。 結論:常温血液心筋保護液へのL-arginine添加は血管内皮細胞及び心機能の温存に優れ、この方法にさらにcaptoprilを添加することにより、lipid peroxidationの抑制効果による再潅流障害抑制効果が得られた。L-NAME添加群でこれらの効果が消去されたことは、L-arginineによるNO産生温存あるいは増加が示唆された。 今後の展望:今後重症化が予想される開心術において、この方法の臨床応用が期待できる。
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