1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08771048
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
吉松 隆 産業医科大学, 医学部, 助手 (70279339)
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Keywords | 腫瘍内浸潤マクロファージ / 所属リンパ節リンパ球 / 肺癌 |
Research Abstract |
原発性肺癌切除症例35例について、mixed lymphocyte-macrophage reaction(MLMR)を施行した。腫瘍内浸潤マクロファージ(TAM)に対する所属リンパ節リンパ球(RLNL)の増殖反応は、末梢血単球(PBM)に対する増殖反応より有位に高かった(P<0.05)。一方、肺マクロファージ(LM)とTAMとの間には差を認めなかった。そこで、RLNLの自己腫瘍に対する増殖反応(MLTR)を15例に行い、MLMRと比較検討した。自己腫瘍に高く反応する症例は、TAMにも高い反応を示した(P<0.05)。一方、肺マクロファージとの間には相関を認めなかった。この反応の担当細胞はCD4^+リンパ球であった。更に、この反応は抗HLA classII抗体で抑制された。以上の結果より、肺癌患者の所属リンパ節には、MHC classII拘束性に腫瘍内浸潤マクロファージに反応するCD4^+細胞が存在し、その反応は自己腫瘍に対する反応と相関したことにより、腫瘍内浸潤マクロファージが癌特異抗原を提示している可能性が示唆された。 今後の肺癌特異的免疫療法の展望の中で、Vaccine Therapy,Adoptive Immunotherapyへの応用が可能と考えられる。また、癌特異抗原同定の新しいtoolとして用いることも可能な知見である。更に、この抗原提示細胞としての機能を樹状細胞へと応用することにより、特異免疫療法の発展に寄与することが期待される。
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