1996 Fiscal Year Annual Research Report
悪性髄膜腫の治療抵抗性獲得の機序と悪性転化の原因について
Project/Area Number |
08771089
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
長島 悟郎 昭和大学, 医学部, 助手 (70262201)
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Keywords | 髄膜腫 / 悪性転化 / 治療抵抗性 / p53 protein / Ki-67 / c-myc |
Research Abstract |
髄膜腫は、再発を繰り返す毎に悪性化してくる。Benign meningiomaからatypical meningioma、anaplastic meningiomaと悪性化して来るに従い、MIB-1(monoclonal antibody for Ki-67 protein)によるproliferative indexは増加し、最終的にはp53 proteinのstabilizationを起こして治療抵抗性を獲得する。各gradeのKi-67 LIはbenign 2.27±2.07%,atypical7.0±5.76%,anaplastic 11.37±4.50%で各gradeで有意差を認め、Ki-67 LIはmeningiomaのgradingを考慮する上で重要な指標になると考えられた。また、DO-1(monoclonal antibody for wild-and mutant-type p53 protein)を用いた免疫染色ではp53はanaplastic meningiomaだけが陽性を示しており、陽性を示したanaplastic meningiomaはp53 RNA probeを用いたin-situ hybridizationでp53 RNAの存在が確認された。Western blottingでは、anaplastic meningiomaが再発を繰り返す毎に、検出されるp53 proteinの量も増えていった。 治療に関しては、1例を除いたatypical meningioma全例に放射線療法を施行し、全例5年以上現在まで再発は認めず、atypical meningiomaでは例え残存腫瘍があっても放射線療法は有効であることが示された。放射線療法を施行しなかったatypical meningiomaは、初回手術(全摘出術)後9ヶ月で再発を認めた。Anaplastic meningiomaには全例放射線療法を行ったが、繰り返す再発を抑えることはできなかった。 また、anaplastic meningiomaで免疫染色上認められたp53 proteinは、1.mutant p53を認識すると言われているPAb240 monoclonal antibodyでは検出されないこと、2.最もmutationが多いとされるexon5からexon8の間ではPCRによるSSCP analysisにて明かなp53 gene mutationが見られなかったこと、以上の2点からmutant-typeではなく機能を喪失しstabilizeしたp53 proteinであると考えられた。 c-myc monoclonal antibodyを用いた免疫染色でも、atypicalおよびanaplastic meningiomaのみでc-myc proteinの発現が認められており、p53 stabilizationが起こる前にc-mycの発現が起こりmeningiomaの悪性化に関与してくる可能性が示唆された。
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