1996 Fiscal Year Annual Research Report
マウスグリオーマ細胞に対するマウスB7遺伝子を用いた実験的遺伝子治療
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08771097
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
常喜 達裕 東京慈恵会医科大学, 医学部・脳神経外科, 助手 (30226378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 哲郎 東京慈恵会医科大学, 医学部・脳神経外科, 講師 (60177798)
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Keywords | 遺伝子治療 / マウスB7遺伝子 / CD80 |
Research Abstract |
目的:癌細胞においては、T cell receptorのcostimulatorであるB7を発現しているものは少ないと考えられている。我々は十種類のヒトグリオーマ細胞でB7が発現していないことをRT-PCR法を用いて確認した。そこで、今回我々は、マウスグリオーマ細胞にマウスB7遺伝子を導入し、免疫応答について検討した。 方法と結果:マウスB7発現ベクターであるpSV-B7をpCMV-Neo遺伝子とともにマウスグリオーマ細胞(SR-B.10A)にリポフェクチンを用いて遺伝子導入し、G418でセレクションをすることにより安定したtransfectant(SR-B.10A-B7)を得た。親株とtransfectantはin vitroにおいてその増強曲線に違いはなく、いずれもヌードマウスならびにSCIDマウスに生着した。次にそれぞれの細胞株(1x10^6個)を同系マウスの皮下に移植したところ、親株は生着したが、SR-B.10A-B7生着しなかった。SR-B.10A-B7を拒絶したマウスにさらに親株を移植すると、その発育速度は明らかに低下していた。さらに、それぞれの細胞株(1x10^4個)を同系マウス右前頭葉内に定位的に移植したところ、親株を移植した群はすべて移植後4週以内に死亡するが、SR-B.10A-B7を移植した群ではすべて4週以上生存し、生存曲線に有意差が認められた。また、SR-B.10A:SR-B.10A-B7=1:1または10:1に混合したマウス皮下に移植したところ、親株であるSR-B.10Aの比率が高い程、腫瘍の発育は速かった。現在、CTL活性について検討を行っている。 結論:costimulatory signalのひとつであるB7を用いることにより、マウス脳腫瘍モデルにおいても治療効果が認められた。現在、IL-12との併用による抗腫瘍効果の増強の有無について検討中である。
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