1996 Fiscal Year Annual Research Report
変形性股関節症の病態解明に対する分子生物学的アプローチ:カテプシンKの役割
Project/Area Number |
08771142
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井幡 巌 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70276286)
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Keywords | 変形性股関節症 / カテプシンK / 分子生物学 |
Research Abstract |
稲岡らのグルーブによりヒト破骨細胞特異的システインプロテアーゼ(カテプシンK)cDNAのクローニングが報告された。(BBRC,206,89-96,1995)。私は稲岡らのグループより開発された方法を用いて正常および変形性股関節症のヒト大腿骨頭におけるカテプシンKmRNAの発現をRT-PCR法で定量し、本遺伝子の発現と骨破壊との関連性について検討することを目的として実験を開始した。変形性股関節症の骨頭において、骨破壊が起こり、その進行度に比例してカテプシンKの発現は破骨細胞で強く発現していると予想している。 最初に、骨からmRNAを抽出する方法を検討した。骨のような硬い組織からmRNAを抽出するのは困難であったが、ブタの大腿骨頭を液体窒素中で機械的に粉砕する方法を検討したmRNAを抽出することが可能となった。次に変形性股関節症の患者より摘出された大腿骨頭を液体窒素で冷凍し-80℃に凍結保存した。なお、変形性股関節症の手術には人工股関節置換術が広く行われており、その時摘出した骨頭は不用となる。この骨頭を用いて実際にmRNAを抽出した。RT-PCR法を用いてカテプシンKmRNAの発現量の検討を行ったところ、バンドの存在が確認できた。その時、骨巨細胞腫から抽出したmRNAをポジティブコントロールとして用いた。現在、カテプシンKmRNAが高発現を示すであろうと推測されるリウマチの滑膜や既に本遺伝子の高発現の報告のある巨細胞腫(様々の種類の巨細胞腫)についても冷凍保存してあり、今後解析する予定である。
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