1996 Fiscal Year Annual Research Report
cGMP測定を用いた高感度敗血症診断法の開発に関する研究
Project/Area Number |
08771192
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大澤 恭浩 広島大学, 医学部, 助手 (00263682)
|
Keywords | 敗血症 / SIRS / cGMP / NO / ニトログリセリン / 食道癌 / ヒト |
Research Abstract |
1.正常成人におけるcGMP 【方法】乳房切断術患者を対象とした.検体血液は(1)執刀開始前(pre),(2)TNG投与により血圧が下降し安定した時点(after),および(3)TNG投与を終了した時点(rec)でヘパリン化した動脈血を橈骨動脈から採取した.検体血液を遠沈して多血小板血症を得た後,血小板数を計測し,トリクロロ酢酸を混合して再度遠沈し,血小板抽出液を得た.試料中のcGMPはenzyme linked immunoassayにて測定した. 【結果】血小板抽出液中のcGMPは(pre)を100%として,(after),168±54%(P=0.08);(rec),125±43%(P=0.59)であった(n=7)(paired t-test). 【考察および結論】TNGはNOドナーとして血管平滑筋などに作用し,NOを産生させることが知られている.今回,TNGを用いて低血圧麻酔を行い血小板内のcGMPを測定し,TNGの臨床的投与量でもcyclic-GMPは増加することが確認された.これらのことから,血小板内cyclic-GMP測定はNO産生量の指標として有用であると考えられる. 2.食道癌根治術患者におけるcGMP 【方法】食道癌根治術を施行し術後SIRSを合併した患者10人のcGMPを測定した.採血は手術前,手術終了時,術後1,2,3,5日に行った.統計学的検定はWilcoxonの符号付順位検定を用い,執刀前の値を100%として比較し,危険率1%未満を有意水準とした. 【結果】手術終了時から術後3日までの血小板内cGMPは手術前値と比較して有意に増加していた. 【考察および結論】これまで臨床的研究においてSIRS症例ではL-6などのサイトカインが有意に上昇しているという報告がある.今回の結果より血小板内cGMPはSIRSの原因となるNO産生の指標として有用であると考えられた.
|