1996 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症性ショックにおけるメチレンブルー投与の血行動態及び臨床症状改善効果の検討
Project/Area Number |
08771208
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
菊田 浩一 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (80264307)
|
Keywords | 敗血症性ショック / 一酸化窒素 / メチレンブルー |
Research Abstract |
メチレンブルー(MB)投与を下記の2症例に行い、その効果を検討した。症例1:68才男性。熱傷(熱傷面積:体表面積の70%)患者。緑膿菌およびカンジタ(C.albicans)による敗血症を繰り返した。第70病日頃よりショック状態を呈し、カテコラミン増量(DOA20γ、DOB20γ、NAd0.08γ)にても、ショック離脱困難なため、第83病日にMB投与(3mg/Kgを30分かけて持続点滴)を行った。血行動態に対する効果を示す。 投与前 投与15分 投与30分 投与60分 平均血圧(mmHg) 40 41 40 43 心係数(L/min/m^2) 2.9 2.8 2.8 2.8 全末梢血管抵抗係数(dynes・min/cm^5/m^2) 719 792 750 867 以上のごとく血行動態への効果を認めず、また代謝性アシドーシス(BE:投与前-8.2から投与後-8.8mEq/l)および動脈血酸素化能(AaDO2:投与前382から投与後448mmHg)に対する改善効果も無かった。症例2:55才女性。Vibrio Vulnificus感染症。第6病日目にカテコラミン抵抗性の敗血症性ショック(DOA20γ、DOB20γ、Nad1.38γ、収縮期血圧50mmHg)に対してMB投与(0.1mg/Kg/分)を行ったところ、投与後にむしろ血圧の低下を認めたため、投与後5分で投与を中止した。この2症例においてMB投与の効果を認め無かった理由として、いずれの症例も敗血症性ショックとしては、心拍出量の低下した末期の症例であったこと、投与量が少なかった可能性、逆に症例2での結果のごとく、病態によっては一酸化窒素が血圧維持に有効に働いている可能性などが考えられた。今後は、高心拍出を呈する比較的初期の敗血症性ショック症例に対してその効果を検討すると伴に、適切な投与量の決定、効果の有無を決定する病態の特徴や効果を予想しうるマーカーの検討を行う予定である。
|