1996 Fiscal Year Annual Research Report
血小板活性化因子の肺循環動態に対する作用および好中球の関与
Project/Area Number |
08771224
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
林 正則 大阪市立大学, 医学部, 助手 (90254416)
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Keywords | 肺循環 / 血小板活性化因子 / 肺高血圧 / NO吸入 / NOS阻害薬 |
Research Abstract |
【方法】 ペントバルバタール麻酔犬の左肺下葉(LLL)を、別の犬(ドナー犬)の股静脈血を用いて一定流量で灌流する犬分離肺循環回路を作成した。平成6-7年度の研究において本回路が安定した肺循環動態を得られることが解明されている。本研究では、血小板活性化因子(PAF)の肺血管に及ぼす作用を検討したが、PAFはARDSのmediatorであると考えられているため、ARDSに対して臨床応用されているNO吸入の効果についても昨年度に引き続いて検討を加えた。左下葉肺動脈圧(PAPLLL)が約25mmHgになるようにPAFを送血回路から持続投与し、5-40ppmNO吸入の効果について検討した(PAF群)。さらにNO合成酵素阻害薬であるL-NNA(30mg/kg)を前処置し、内因生NOを阻害した状態で、同様の研究を施行した(L-NNA-PAF群)。 【結果】 PAPLLLを約25mmHgに増加させるためのPAFの投与必要量はL-NNA前処置により有意に減少した。本研究では分離灌流肺を使用しているため、肺動脈圧の変化はそのまま肺血管抵抗(PVR)の変化を表す。PAF群では、吸入NOはすべての濃度においてPVRを有意に減じたが、NO吸入濃度に濃度依存反応を認めなかった。また吸入NOのこの作用はL-NNA-PAF群において有意に増強した。 【まとめ】 肺循環においては、PAFは肺血管収縮作用を有するとともに、NOが緩衝的に作用している。L-NNAで内因性NOを抑制することにより、PAF誘導性肺高血圧に対するNO吸入の効果が増強する。
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