1996 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科腫瘍におけるテロメラーゼ活性の意義に関する研究
Project/Area Number |
08771299
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
柳沼 裕二 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90250571)
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Keywords | 子宮頚癌 / テロメラーゼ / HPV / 細胞診 |
Research Abstract |
細胞の増殖制御、不死化、癌化に染色体DNA末端の繰り返し配列テロメアとそれを合成するテロメラーゼが果たす役割が注目されている。またヒトパピローマウィルス(HPV)E7蛋白がテロメラーゼを活性化することが明らかとり、我々は子宮頚癌組織、子宮頚癌細胞株および子宮頚部擦過細胞でのテロメラーゼ活性とHPVの感染の有無を検討し、子宮頚癌の発癌メカニズムにおけるテロメラーゼとHPVの果たす役割を検討した。子宮頚癌細胞株7株、子宮頚癌組織12例、子宮頚部擦過細胞検体61例(class I:9例,II:16例,IIIa:19例,IIIb:6例,IV:4例,V:7例)を用いた。テロメラーゼmRNA(hTR)はRT-PCRにより検討し、テロメラーゼ活性の測定はTRAP法を用い、internal controlにはITASを用いた。また、HPVの検出にはPCRを用いた。子宮頚癌細胞株の検討では7株全例にhTRの発現が見られ、テロメラーゼ活性も全例に認めらた。子宮頚癌組織の検討では83%にhTRの発現が見られ、75%にテロメラーゼ活性が認められた。正常子宮頚部ではhTRの発現が見られたが、テロメラーゼ活性は検出できなかった。擦過細胞検体での検討ではclass I:11%,II:12%,IIIa:37%,IIIb:67%,IV:100%、V:100%の頻度でテロメラーゼ活性が認められた。さらにHPV陽性例の94%にテロメラーゼ活性が認められた。子宮頚癌でも高頻度でテロメラーゼ活性が認められ、その発癌過程にテロメラーゼが関与していること、また擦過細胞検体での検討から発癌の比較的初期の段階からの関与が示唆された。さらにテロメラーゼの活性化にHPVの感染が関与している可能性が示唆された。
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