1996 Fiscal Year Annual Research Report
膜型マトリックスメタロプロテイナーゼを標的とした遺伝子治療に関する研究
Project/Area Number |
08771393
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
竹下 元 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (40272976)
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Keywords | MT1-MMP / MMP2 |
Research Abstract |
癌細胞細胞膜上に存在する膜型マトリックスメタロプロテイナーゼ(MT-MMP)をターゲットした免疫療法の確立を目的とした.まず耳鼻咽喉科頭頚部外科領域の癌細胞細胞膜上にこのMT-MMPが発現しているかいないかを検索することとした.また3種類あるMT-MMPのうち1型のMT-MMP(MT1-MMP)を対象とした.癌細胞はこのMT1-MMPが不活性型のMMP2を活性型のMMP2に変換し,活性型MMP2が周囲の細胞外基質を破壊することにより浸潤,転移をおこす.そこで第一にゲラチンザイモグラフィーにて頭頚部癌における不活性型MMP2と活性型MMP2の発現を調べた.頭頚部癌10症例に対し行ったところ全てに活性型MMP2の発現が認められた.このことは頭頚部癌にも肺癌や胃癌と同様にMT1-MMPが発現していることが示唆された.そこで第二にMT1-MMPのmRANの発現をノーザンブロットハイブリダイゼイションにて調べた.活性型MMP2の発現を認めた頭頚部癌10症例のうち8症例に対して行ったが,全例にMT1-MMPのmRNAの発現が確認された.第三にMT1-MMPに対する抗体を作製し,頭頚部癌を免疫組織学的に検討した.27例の頭頚部癌を対象とした結果24例,89%が陽性すなわち癌細胞の細胞膜に反応が認められた.病理学的に分化度の高い癌に強く反応が認められた.以上のことより,MT1-MMPは頭頚部癌においても腫瘍マーカーとしてのみならず,遺伝子治療のターゲットとして有用であることが解った.そこで現在MT1-MMP発現プラスミドとバクテリアを用いてMT1-MMP蛋白を精製中である.MT1-MMP蛋白を精製後この蛋白とTリンパ球をサイトカインなどの存在下に混合培養し,殺腫瘍細胞効果を持ったTリンパ球の活性化を検討していく予定である.
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Research Products
(1 results)