1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08771480
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小阪 淳 大阪大学, 医学部, 助手 (40243216)
|
Keywords | モノクローナル抗体 / 網膜神経節細胞 / 哺乳類 / ウイルスベクター / 外来遺伝子導入 / 中枢神経細胞 / PC12 / Y79 |
Research Abstract |
(1)C38分子の機能解析 C38分子は、哺乳類において網膜神経節細胞を特異的に標識するモノクローナル抗体C38の抗原分子であり、分子量約22KDaのタンパク質である(Wakabayashi,et al.,1996)。このC38分子について、中枢神経細胞における生理機能の同定を試みた。C38分子はcDNAの一次構造の解析から、中枢神経系に特異的と報告されている分子の相同分子と考えられたが、その生理機能は未だ同定されていない。そこで、私達は、アデノウイルス・ベクターにC38分子のcDNAを組換え、培養細胞及びin vivoレベルの生体において同分子の発現を操作することによって生理機能の同定を試みている。既にC38分子のsenseとantisenseの全長cDNAの組込みに成功し、現在組換え体ウイルスの単離を進行中である。また、本ベクターがどのような細胞種に対して遺伝子導入が可能かどうかの検討も行った。現在までに、LacZを組み込んだアデノウイルス・ベクター(AdexlCALacZ)を使用してPC12、Y79等の神経系培養細胞に外来遺伝子導入と発現が可能であることが判明した。さらに、成熟ラット眼球内に同ウイルスを注入しin vivoレベルにおいても網膜神経層内で外来遺伝子導入が可能であることを見いだした(平成8年度神経眼科学会発表)。 (2)網膜神経節細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体の大量単離 成熟ネコ網膜を材料にして、C38抗体を単離したのと同様に、網膜神経節細胞を認識する新たなモノクローナル抗体の単離を試みている。現在までにF8、B29と名付けた抗体の単離に成功し、染色性の詳細な解析を行っている。中でもB29抗体はラットにおいて蛍光色素の逆行性標識との2重染色により、神経節細胞を標識していることが明らかになった。
|
-
[Publications] Wakabayashi T,et al: "Monoclonal antibody C38 recognizes retinal ganglion cells in cats and rats" Vision Research. 36. 1081-1090 (1996)
-
[Publications] Wakabayashi T,et al: "Monoclonal antibody C38 labels surviving reitnal ganglion cells after peripheral nerve graft in axtomized rat retina" Brain Research. 725. 121-124 (1996)