1996 Fiscal Year Annual Research Report
眼表面上皮におけるapolipoproteinの発現に関する研究
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08771509
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
西田 幸二 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (40244610)
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Keywords | apolipoprotein J / 角膜上皮 / 結膜上皮 / 粘膜上皮 / 分化 / スチ-ブンス・ジョンソン症候群 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
我々はこれまでに,角膜上皮のcDNAを包括的に解析することにより,apolipoprotein J (apoJ)が最も発現頻度が高い遺伝子産物であることを示した。本研究では,眼表面上皮におけるapoJの発現と局在を検討し,その役割について検討した。 手術時に得たin vivo角膜上皮,結膜上皮,膣上皮,食道上皮,表皮およびスチ-ブンス・ジョンソン症候群の角膜移植時に得た分化異常(角化)を生じた角結膜組織を標本として,RT-PCRによるapoJmRNA発現の検討,in situ hybridization法によるapoJmRNA局在の検討,免疫組織化学法によるapoJ蛋白の局在の検討を行った。また,角膜上皮創傷治癒過程におけるapoJ発現をラット角膜を用いて検討した。 以下の結果が得られた。(1) apoJmRNAの発現は角膜上皮,結膜上皮,膣上皮,食道上皮(すべて粘膜上皮)でみられたが,角化上皮である表皮ではapoJmRNAの発現は認めなかった,(2) apoJmRNAは角膜上皮の全層,とくに基底細胞層に強く局在していた,(3)apoJ蛋白は上記の粘膜上皮の表層部に局在していたが,表皮には局在を認めなかった,(4)スチ-ブンス・ジョンソン症候群の結膜上皮では,正常と比較して,apoJの発現は減弱していた,(5)創傷治癒過程において,上皮創傷治癒先端部の細胞移動している部位ではapoJの発現は減弱していた。 以上の結果より,apoJは粘膜上皮の維持に必要な因子であること,分化した粘膜上皮によりつよく発現されることが示唆された。
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