1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08771524
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
谷野 富彦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50217147)
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Keywords | 緑内障 / 隅角線維柱帯 / glycosaminoglycan |
Research Abstract |
1.緑内障の手術の際に得られる約1×3mm大の隅角線維柱帯組織を半割し、光学顕微鏡用および電子顕微鏡用切片を作成した。 2.光学顕微鏡用標本のHE染色では、開放隅角緑内障では線維柱帯ぶどう膜網、強膜網には正常眼と比較して大きな差異は認められなかった。しかし、閉塞隅角緑内障では、線維柱帯ぶどう膜網、強膜網ともにその層状構造は間隙が少なく、密であった。 3.酵素抗体法を用いた免疫組織化学的検討ではヒアルロン酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸などのglycosaminoglycanは正常眼と比較してやや線維柱帯ぶどう膜網、強膜網における分布が局在し染色性もあがっていた。収縮蛋白である平滑筋由来α-アクチンは維柱帯ぶどう膜網に存在し、新生血管緑内障において染色性が高かった。 4.電子顕微鏡用標本にて、光学顕微鏡用標本と同様に開放隅角緑内障では線維柱帯ぶどう膜網、強膜網には正常眼と比較して大きな差異は認められず、また閉塞隅角緑内障では、線維柱帯ぶどう膜網、強膜網ともに線維柱層板構造は、やや薄いものの間隙が少なく密であった。また細胞外成分はいずれの緑内障でも増加し、房水流出抵抗となっているものと思われた。 5.以上の結果をこれまで行ってきた人眼の正常発達期の隅角線維柱帯組織と比較するとglycosaminoglycanおよび平滑筋由来α-アクチンの分布は緑内障眼と分布などに類似点があり、何らかの隅角線維柱帯組織の未熟性が関与しているものと思われた。
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