1996 Fiscal Year Annual Research Report
無麻酔・無拘束動物の咀嚼時閉口筋γ運動神経活動に関する研究
Project/Area Number |
08771605
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山村 健介 新潟大学, 歯学部, 助手 (90272822)
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Keywords | 慢性動物 / 咀嚼 / 閉口筋γ運動神経 / 細胞外記録 / 神経生理 / ウサギ |
Research Abstract |
実験には麻酔したウサギを用いた。γ運動神経細胞の同定方法を確立するため、三叉神経運動核背外側部(閉口筋運動ニューロンプール)において咬筋伸張刺激に対し最大の反射性活動が認められる部位からマルチユニット神経活動を記録し、咬筋に刺入した2本のワイヤー電極を介する咬筋神経刺激に対する応答を調べた。その結果潜時1〜1.2msの複合活動電位が記録された。この複合活動電位は明確な二峰性を示さず、逆行性刺激に対する応答潜時のみではα、γ両運動神経を区別することが困難であることが示唆された。そこで同部位よりシングルユニット活動を記録し、便宜的に咬筋神経の逆行性刺激に対する応答潜時が1.5ms以上(長潜時群)のニューロンと1.2ms以下(短潜時群)のニューロンについて発火様式を比較したところ以下の結果が得られた。 1.長潜時群のうち多くのものに高頻度の自発放電がみられたが、短潜時群にはみられなかった。 2.下顎の受動的開口に対し長潜時群はリニアな応答を示さなかったが、短潜時群は開口に一致して発火し、繰り返しの開口によってしばしば自発放電をするようになった。また、その際にも開口刺激に対する応答性は失われなかった。 3.長潜時群のうち約半数のもので体幹や尾に対する繰り返しの触刺激に対して持続的に発火頻度が増加した。この応答は麻酔は浅いほど顕著に認められた。短潜時群にはこのような応答は認められなかった。 4.電極位置の操作により短潜時群のうち多くのものは1mV以上の電位で活動を記録することが可能であったが、金属電極を用いた場合、長潜時群を活動を500μV以上の電位で記録することは困難であった。 これらの結果とネコにおいてγ運動神経活動を記録したSessle(1976)の報告とを比較すると、本研究で観察された長潜時群がγ運動神経に相当すると考えられた。覚醒動物でのγ運動神経の記録については今後の課題である。
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[Publications] Yamamura,K.: "Factors which may possibly affect activities of muscle spindle afferents of iaw closing muscles during mastication in freely behaving rabbits." Jpn.J.Physiol.46(Suppl.). s141-s141 (1996)
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[Publications] 山村健介: "覚醒動物において下歯槽神経刺激により閉口筋に誘発される反射" 歯基礎誌. 38. 193-193 (1996)
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[Publications] 五十嵐直子: "ウサギの自由咀嚼時の頚筋活動について" 歯基礎誌. 38. 194-194 (1996)
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[Publications] 小林真之: "大理石病マウス(無菌症マウス)はいかにして摂食するか" 歯基礎誌. 38. 195-195 (1996)
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[Publications] 井上誠: "睡眠時における咬筋運動神経の興奮性の変調" 歯基礎誌. 38. 196-196 (1996)
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[Publications] Yamada,Y.: "Possible factors which may affect phase durations in the natural chewing rtyhhm." Brain Res.706. 237-242 (1996)