1996 Fiscal Year Annual Research Report
咽頭部および喉頭部の化学受容:Clイオンチャネルの関与
Project/Area Number |
08771607
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
美藤 純弘 岡山大学, 歯学部, 教務員 (20240872)
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Keywords | ウサギ / 嚥下 / 喉頭蓋 / 上喉頭神経 / 化学刺激 / 水刺激 / Clイオンチャネル / Clイオンチャネル阻害剤 |
Research Abstract |
咽頭部、喉頭部を蒸留水(DW)やNa_2SO_4溶液で刺激すると嚥下が誘発される。NaCl溶液では嚥下が誘発されない。化学刺激による嚥下の誘発に、次のようなメカニズムが考えられた。粘膜の受容細胞にはClイオンチャネルがあり、水刺激では受容細胞の外側のClが少なくなり受容細胞が興奮し、NaCl刺激は受容細胞を抑制する。また、SO_4にはClイオンのチャネル透過性を増加させる作用があり、強い興奮作用を持つ。このように、化学刺激による嚥下にはClイオンチャネルの関与が考えられているが直接の証拠は得られていない。今回、喉頭蓋を支配する上喉頭神経神経から化学刺激による応答を記録し、これらの応答に対する種々Clイオンチャネル阻害剤の効果を調べた。 ウレタン麻酔下のウサギをガラミンで非動化し、人工呼吸器で呼吸を維持し、喉頭蓋を露出した。喉頭蓋に刺激液を与え、上喉頭神経から応答を記録した。刺激液としてDW、154mM Na_2SO_4、154mM NaCl、及びそれぞれにClイオンチャネル阻害剤(SITS、furosemide、DPC、9-A-C)を0.1mM含有した溶液を使用した。刺激後のリンス溶液は154mM NaCLを用いた。DW、154mM Na_2SO_4の刺激で大きな応答が得られた。しかし、Clイオンチャネル阻害剤でこれらの応答は抑制されなかった。また154mM NaClに対する放電頻度にも影響はなかった以上、今回の実験では種々のClイオンチャネル阻害剤を使用したにもかかわらずそれらの薬物による効果は見られず、化学刺激による嚥下にはClイオンチャネルが関与する直接的証拠は得られなかった。そこで、Clイオンチャネルは受容細胞の表面膜でなく受容細胞間のタイトジャンクションより深い粘膜下の細胞膜にあり、Clイオンはタイトジャンクションを透過できるがClイオンチャネル阻害剤は透過できないので効果がなかったことが考えられる。
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