1996 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺由来上皮細胞増殖因子の受容体機能に及ぼす細胞基質接着の役割
Project/Area Number |
08771608
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岩佐 佳子 広島大学, 歯学部, 助手 (70274090)
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Keywords | 細胞接着 / チロシンリン酸化 / EGF / FAK / CAS / KB細胞 |
Research Abstract |
EGFの受容体機能に及ぼす細胞基質接着を解明する目的で、KB細胞において、細胞接着のチロシンリン酸化に及ぼす影響ならびに、EGFによるリン酸化への影響について調べた。その結果、130k,110k蛋白質は浮遊細胞ではリン酸化され、PSAレクチンに付着した細胞でのみリン酸化が減少し、またEGF添加により175kDa蛋白質はリン酸化されていた。これらのことから、130k,110k蛋白質は細胞基質接着とEGF受容体活性化とのシグナル伝達に関与していることが示唆され以下の実験を進めた。 1)他の細胞基質接着に関わる110KDa,130kDaチロシンリン酸化蛋白質との関連 p125FAKやp130CAS,ビンキュリンの抗体を用いて、免疫沈降を行った。FAK、CASは浮遊状態でチロシンはリン酸化されていたが、接着すると脱リン酸化された。PSAレクチンに付着した細胞でのみ脱リン酸化される130K,110K蛋白質は一つの蛋白質ではないと示唆され、この蛋白質の分離へと実験を進めた。 2)PSAレクチンに付着した細胞で脱リン酸化される130K,110K蛋白質の分離、精製 PSAレクチンカラムによりPSAに接着する蛋白質を分離し、260,230,200,170,150KDa蛋白質を得た。この中でConAレクチンに結合しないものは260,170KDaであった。 3)目的遺伝子の発現クローニング 変移源MNNGによって、PSAレクチンに結合できないKB細胞の変異株の分離を試みたが、PSAレクチンに結合しない細胞を得ることはできなかった。おそらく、この機能は細胞の生存、増殖の必須条件であり、PSAに結合できない変異株は死滅してしまうと考えられる。
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