1996 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞の転写調節因子NF-κBによるインターロイキン6遺伝子発現機構の解析
Project/Area Number |
08771621
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
自見 英治郎 昭和大学, 歯学部, 助手 (40276598)
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Keywords | 破骨細胞 / インターロイキン(IL-1)-1 / NF-κB / IL-6 / ゲルシフトアッセイ / p50 / p65 / 免疫染色 |
Research Abstract |
マウス骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養によって得られた破骨細胞様細胞(破骨細胞)を用いてインターロイキン6(IL-6)遺伝子の発現機構の解析を試みた。 1.破骨細胞のNF-κB様因子の性状の解析 ゲルシフトアッセイにおいて、IL-1によって活性化される破骨細胞のNF-κB様因子は骨芽細胞のNF-κBより分子量の小さな単一のバンドとして認められた。そこで、NF-κBを構成するp50,p65,c-Rel,Rel B及びp52に対する抗体を用いてスパーシフトアッセイを行い両者の組成の違いを検討した。その結果、骨芽細胞のNF-κBはp50-p50のホモダイマー、及びp50-p65のヘテロダイマーとして検出された。これに対し、破骨細胞のNF-κB様因子はp50に対する抗体でバンドの大部分が、p65に対する抗体でその一部がスーパーシフトしたが他のサブユニットに対する抗体には反応しなかった。このことから破骨細胞のNF-κB様因子はp50及びp65関連蛋白から構成されていることが判った。さらに、p65に対する抗体で免疫染色を行ったところ、IL-1刺激後30分で破骨細胞の全ての核にp65が移行することが判った。 2.破骨細胞のIL-6mRNA発現の解析 破骨細胞及び骨芽細胞をIL-1で刺激、非刺激した後に全RNAを抽出し、IL-6 cDNAプローブを用いてノーザンブロット法により破骨細胞と骨芽細胞のIL-6mRNA量を比較検討した。骨芽細胞ではIL-1刺激後1時間で非刺激の約10倍IL-6のmRNAの上昇が認められ、NF-κBの活性化を阻害するTPCKの前処理によってIL-6のmRNAの上昇は抑制された。一方、破骨細胞ではIL-6のmRNAの発現は検出限界以下であった。RT-PCR法で刺激後1時間でわずかな上昇が認められた。 以上のことから、破骨細胞は骨芽細胞と同様にIL-1刺激によってNF-κBの核への移行が起こっているにもかかわらず、少なくとも破骨細胞が骨芽細胞よりも多くのIL-6を産生する可能性は低いと考えられた。
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Research Products
(1 results)