1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性上皮の腫瘍化におけるアポトーシスの役割に関する分子病理学的研究
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08771635
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊本 裕行 東北大学, 歯学部, 助手 (70215028)
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Keywords | 歯原性上皮 / 歯原性腫瘍 / アポトーシス / 免疫組織化学 / TUNEL法 |
Research Abstract |
歯原性上皮は本来歯の発生に関わる組織であるが,嚢胞や腫瘍への病的変化も稀ではない。これらの病変は、歯の形成後消失すべき歯原生上皮が残存・増殖したものと考えられ、その過程でのアポトーシスの関与が注目されている。本研究では、歯胚(14例)、エナメル上皮腫(29例)および悪性エナメル上皮腫(2例)におけるアポトーシス関連因子について、免疫組織化学およびTUNEL法で検索した。 1.免疫組織化学 1) bc1-2蛋白の発現は、歯胚上皮14例(100%)、エナメル上皮腫26例(90%)、悪性エナメル上皮腫2例(100%)にみられた。 2) p53蛋白の発現は、歯胚上皮ではみられず(0%)、エナメル上皮腫14例(48%)、悪性エナメル上皮腫1例(50%)にみられた。エナメル上皮腫(p<0.001)および悪性エナメル上皮腫(p<0.01)における発現率は、歯胚上皮より統計学的に有意に高かった。腸性症例での陽性細胞率は、エナメル上皮腫が平均7.7%、悪性エナメル上皮腫が36.2%だった。 3) Le^y抗原の発現は、歯胚上皮14例(100%)、エナメル上皮腫21例(72%)、悪性エナメル上皮腫1例(50%)にみられた。エナメル上皮腫における発現率は、歯胚上皮より統計学的に有意に低かった(p<0.05)。 2. TUNEL法 TUNEL法による陽性細胞率の平均は、歯胚のエナメル器が0.4%、歯堤が0.7%、エナメル上皮腫が2.2%、悪性エナメル上皮腫が0.9%だった。エナメル上皮腫における陽性細胞率は、エナメル器(p<0.001)および歯堤(p<0.01)より統計学的に高かった。 以上の結果より,歯原性腫瘍の腫瘍化にアポトーシスの関与が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 熊本 裕行,他1名: "歯原性上皮由来の腫瘍におけるアポトーシス関連因子の検索" 日本病理学会会誌. 86 (1) (in press). (1997)
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[Publications] 熊本 裕行,他1名: "エナメル上皮腫におけるMMP-1. 3. 9の発現に関する免疫組織化学的研究" 歯科基礎医学会雑誌. 38 (補). 461- (1996)
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[Publications] Kumamoto H et al: "Characterization of novel monoclonal antibodies raised against formalin-fixed, paraffin-embedded human ameloblastoma" Journala of Oral Pathology & Medicine. 25 (9). 484-90 (1996)
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[Publications] 熊本 裕行,他2名: "エナメル上皮腫を免疫源として作製したモノクローナル抗体の性状解析" 日本病理学会会誌. 85 (1). 148- (1996)