1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病理細菌に対する患者血清中抗体の性状および機能に関する研究
Project/Area Number |
08771685
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中島 啓介 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (80227785)
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Keywords | A.actinomycetemcomitans / 血清型b抗原 / 血清抗体 |
Research Abstract |
Actinobacillus actinomycetemcomitansの血清型bの菌株に対して高い抗体価を示す患者血清群には,血清型b野菌株のみに対して高い抗体価を示す血清と3つの異なる血清型の菌株すべてに対して高い抗体価を示す血清が存在することがこれまでの研究により明らかになった。今回の研究では,各々のグループの血清から血清型b抗原に対する抗体とリポ多糖に対する抗体をそれぞれ精製しIgGサブクラスの分布を調べる予定であった。しかし,保存している患者血清の容量はいずれも分析用には十分であったがIgG2画分を精製し分析するにはあまりにも少量であったでの,これまでに過去に高い血清抗体価を示した患者から新たに採血して被検血清を得るに至った。得られた血清はいずれも血清型bの菌株のみに対して高い抗体価を示す血清であったので,血清型b抗原に対するIgG2抗体画分を精製,分析し以下のような結論を得た。 1.血清中のIgG2量は正常値の範囲でIgG1に次いで多かった。 2.血清型b抗原に対するIgG抗体画分中では,IgGがその主なサブクラス(平均62mg/ml)であり,IgG1はIgG2の約1/10程度であった。 3.血清型b抗原に対するIgG2抗体は血清中総IgG2量の約1%であった。 4.血清型b抗原に対するIgG2抗体画分中ではカッパ鎖がラムダ鎖に比べてわずかに多かった。 5.精製した抗体について補体活性化を指標とした抗体の機能も検討する予定であったが,精製できた抗体量が少なく,予備実験において行った補体活性化実験系の確立が失敗したことなどから今回の研究ではその結果は得られなかった。
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