1996 Fiscal Year Annual Research Report
白血球毒素産生細菌における毒素蛋白の存在様式に関する研究
Project/Area Number |
08771694
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
原 博章 岡山大学, 歯学部・附属病院, 助手 (50263603)
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Keywords | A.actinomycetemcomitans / 菌体表層DNA / 白血球毒素 / GroEL |
Research Abstract |
A.actinomycetemcomitans (A.a) の菌体表層にはDNAが異所的に局在し,本菌の白血球毒素はそのDNAを介して菌体表層に局在することがわかってきた。バッチ培養における菌体表層DNAと毒素の産生について検討することを目的として,種々の growth phase における菌体表層のDNA量および毒素の産生量,DNAの表層局在を免疫電子顕微鏡法(IEM)により検討した。 〈方法〉A.a301-b株をブレイン ハート インフュージョン(0.5% 酵母エキス,0.4%NaHCO_3を含む)培地で,嫌気あるいは好気条件で培養した。菌体表層DNAは,菌体を制限酵素処理後,遠心上清をアガロースゲル電気泳動で検出した。毒素の検出は,濃縮培養上清および菌体制限酵素処理後の上清について,家兎抗毒素血清を用いてイムノブロッティングで行った。IEMは,マウス由来の抗DNA抗体を菌体と反応させ,ゴールドラベルした抗マウスIgM抗体と反応後,電子顕微鏡で観察した。 〈結果と考察〉1)菌体表層のDNA量:嫌気培養では対数増殖期の初期で最も多く検出され,静止期で著しく減少した。好気培養では対数増殖期の初期で多く検出されたが,中期から静止期にかけて減少した。2)毒素産生:嫌気培養では,対数増殖期の培養上清および制限酵素処理上清からは検出されなかったが,静止期の培養上清からは毒素が検出された。好気培養では,いずれも毒素は検出されなかった。3)IEMによる観察:抗DNA抗体を用いたIEMでは,ゴールド粒子が菌体表面に観察され,A.aにおけるDNAの異所的局在が確認された。また,A.aでは熱ショック蛋白質GroELの菌体表層局在を示唆する報告があるが,抗GroEL抗体を用いたIEMにより,GroELについても,その菌体表層への異所的局在が確かめられた。
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Research Products
(1 results)